顕微授精によるウマ受精卵の体外作出

タイトル 顕微授精によるウマ受精卵の体外作出
担当機関 (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2000~2002
研究担当者 居在家義昭
高橋政義
高橋清也
細江実佐
松川和嗣(信州大)
赤木悟史
足立憲隆
発行年度 2002
要約 ウマ卵巣から採取した卵胞卵子を市販のウシ卵子用成熟培地を用いて成熟培養を行うことにより体外成熟卵子を得ることができる。さらにウマ精子をマイクロマニピュレータを用いて卵子細胞質内に顕微注入(顕微授精)し、体外培養することによって受精卵を作出することができる。
キーワード ウマ、体外成熟、顕微授精、受精卵、体外培養、繁殖
背景・ねらい
ウマ卵子および初期胚の生理学的研究ならびにウマ受精卵の効率的体外生産技術の開発を行うためには体外成熟、体外受精、体外培養等の卵子の体外操作に関する基本的技術が重要である。しかし、体外受精による精子侵入率が低率であることから、体外受精技術は未だ体系的に確立されていない。本研究では、ウマ卵子の体外成熟培養法、顕微授精による受精卵作出法、および体外培養法を検討することを目的とする。
成果の内容・特徴
1.
食肉処理場から24時間以内に研究室に運搬したウマ卵巣から卵胞吸引法および卵巣細切法により未成熟卵子を採取し、市販のウシ卵子用成熟培地(IVMD101:機能性ペプチド研究所)を用いて30時間成熟培養することにより、卵丘細胞緻密卵子、卵丘細胞膨化卵子いずれにおいても体外成熟卵子を得ることができる(表1)。
2.
ピエゾマイクロマニピュレータを用いたウマ精子の卵細胞質内顕微注入(顕微授精)において、精子をCaイオノフォア0.1μMで2分、カフェイン1
μMで6時間前処理することにより、顕微授精後の前核形成を改善することができる(図1、表2)。
3.
顕微授精によって作出されたウマ受精卵をCR1aa培地を用いて体外培養することにより、一部は胚盤胞に発生するが(図2)、顕微授精後の卵子の活性化処理は体外発生に必須ではなく、発生能に有意な差は認められない(表3)。
成果の活用面・留意点
1.
ウシやブタで使用されている媒精法による体外受精技術はウマでは有効ではないので、顕微授精法が有効な受精卵の体外作出法となる。
2.
顕微授精を用いたウマ受精卵作出法によって、卵子の体外成熟ならびに初期胚の体外発生機構解明等の研究遂行が容易になる。
3.
卵巣の24時間程度の保存ならびに運搬が可能であるので、食肉処理場から遠隔な実験室でも受精卵の作出が可能である。
図表1 226808-1.gif
図表2 226808-2.gif
図表3 226808-3.gif
図表4 226808-4.gif
図表5 226808-5.gif
カテゴリ 機能性 繁殖性改善

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