タイトル | 省力的な集畜捕獲作業を可能にする放牧牛管理用軽トラック |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
小迫孝実 塚田英晴 深澤充 井村毅 須藤まどか |
発行年度 | 2003 |
要約 | 拡声音響装置と自動ロックスタンチョンを搭載した軽トラックを用いることで、予め誘導訓練しておいた牛を、放牧地の任意の場所へ牛追い等の手間をかけずに誘導し、捕獲することができる。 |
キーワード | 放牧、ウシ、放牧牛、行動、音響誘導、家畜管理 |
背景・ねらい | 大きな放牧地を使って多頭の牛を昼夜放牧している粗放的管理の公共牧場では、放牧牛の毎日の個体確認作業に多大な時間と労力を要することに加えて、必要な時に特定の個体を自由に捕獲できないことが家畜管理上の問題点となっている。そこで、各農家のきめ細かい繁殖・衛生管理を可能にするため、音響誘導技術および自動ロックスタンチョンを軽トラックと結びつけた省力的かつ機動的な放牧牛の集畜捕獲作業用の車を開発し、その作業性について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 拡声音響装置と自動ロックスタンチョンを搭載した軽トラック(図1)により、予め音響誘導訓練を行って捕獲に馴致させておいた牛を、牛追い等の手間をかけずに放牧地で集畜捕獲することができる(写真1)。 2. 音響誘導訓練では、舎飼期にパドック等において、誘導時に使う音楽(条件刺激)が流れると軽トラック荷台上のスタンチョンで濃厚飼料(報酬)が得られることを学習させる。音響誘導の学習は4日程度で完成するが、繰り返し行うことで強化される。一旦学習した牛は、9ヶ月間強化を行わなくても訓練の効果が得られることが放牧地で確認されている。 3. 放牧地で牛群から目的の牛を分離し捕獲する作業は1人で行うことができる。捕獲にかかる時間は放牧地の面積や気象等の条件で異なるが、2~2.6haの放牧地では約6分である(表1)。 4. 捕獲した牛に対してはダニ駆除剤の塗布、直腸検査等の家畜管理作業を行うことが可能である(写真1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 公共牧場において捕獲施設のない牧区でも農家所有の牛のみを牛群から分離して管理することができる。同時に捕獲できる頭数は4頭であり、それ以上の頭数の場合は捕獲した牛を順次別の柵等につなぎ変える。 2. 放牧牛の捕獲は、軽トラックを水平かつ平坦な場所に完全に制動して行うこと。 3. 荷台上にスタンチョンがあるため、体格の小さい牛には使用できない場合がある(体高120cm以上が目安)。 4. 盛夏の高気温時に牛が庇陰林等で休息している時には誘導が不可能となる場合がある。また、分娩直後の繁殖雌牛は子牛から離れないため分娩後約7日間は誘導が不可能となり、再び誘導可能となるのは分娩後8日目以降である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 繁殖性改善 |