タイトル | 新たに見出された芝草3草種の病害 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
大久保博人 菅原幸哉 御子柴義郎 一谷多喜郎((財)関西グリーン研究所) |
発行年度 | 2003 |
要約 | わが国で新たにシバに炭疽病、ベントグラスに黒点葉枯病、センチピードグラスに灰斑病の発生を確認し、前2者の病原をそれぞれColletotrichum caudatum、Gloeocercospora sorghiと同定した。 |
キーワード | 作物病害、緑化植物、芝草類、新病害、同定、発生病害 |
背景・ねらい | Zoysia 属等の芝草類は放牧用草地の他、侵食防止や緑化など近年益々多目的に用いられる傾向にあり、管理や草種が多岐にわたるにつれて、従来とは異なる新たな病害の発生も危惧されている。これらの病害の発生やその生態については、他の作物と比較して詳細な検討が十分になされていないので、適切な診断と制御に資するため調査研究を実施した。 |
成果の内容・特徴 | 1. シバ(Zoysia japonica Steud.)の新病害 病名:炭疽病(仮称)、病原菌:Colletotrichum caudatum (Peck ex Sacc.) Peck 1999年7月栃木県内の生産力検定圃場で発生。葉身に中央部灰色、周縁部褐色となる紡錘形の病斑を生じ、葉身先端部が侵され易い。古い病斑上に多数の黒点(分生子層)を生じる(図1)。病斑上の分生子層には、剛毛が多数形成され、診断の目安となる。本菌は有傷接種でのみ発病が再現される。 2. ベントグラス(Agrostis stolonifera L.)の新病害 病名:黒点葉枯病(仮称)、病原菌:Gloeocercospora sorghi Bain & Edgerton ex Deighton 2000年6~10月に栃木県内の緑化圃場で発生。8月は病勢が治まる。症状は圃場全面に無数の褐色~銅色の小型円形枯死域を生じる。葉身上には微小な球状の粘塊(分生子塊)を生じ、枯死部には球状の微小な菌核が表皮下に形成される(図2)。本菌は、接種でソルガムにも病原性を示す。 3. センチピードグラス(Eremochloa ophiuroides (Munro) Hack.)の新病害 病名:灰斑病(仮称)、病原菌:2核性真菌の一種 2002年6~10月に栃木県内の病害試験圃場で発生。病勢の進展に伴い円形の枯死域が形成され、 裸地化する(図3)。葉身に中央部灰色、周縁部が明瞭な淡褐色となる楕円形の大型病斑を生じる (図4)。 本菌は、胞子などの子実体を形成しないが、無傷接種でも発病が再現される。イソプロチオラン・フルトラニル剤に感受性である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 牧草や芝草に関わる諸機関で病害の診断に有効な情報となる。 2. 新病害の病名は仮称であり、日本植物病名目録(日本植物病理学会編)に登録されて正式な病名として扱われる。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | ソルガム 炭疽病 |