宿主植物の花を用いたNeotyphodiumエンドファイトの観察・検出法

タイトル 宿主植物の花を用いたNeotyphodiumエンドファイトの観察・検出法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 1999~2003
研究担当者 菅原幸哉
大久保博人
山下雅幸(静岡大)
御子柴義郎
発行年度 2003
要約 イネ科草本の花序をラクトグリセロールに浸漬して脱色・透明化し、未熟子房を取り出して微分干渉顕微鏡で透過観察すると、Neotyphodiumエンドファイトの感染状況を観察できる。
キーワード 作物病害、イネ科牧草、野草、エンドファイト、微分干渉顕微鏡
背景・ねらい  イネ科草本植物に共生する糸状菌、Neotyphodiumエンドファイトは、家畜中毒の原因となるが、植物の生育を促進する微生物資材として注目されている。その検出には葉鞘組織・種子の顕微鏡観察や免疫的手法が用いられてきたが、植物組織内での密度が低い菌種の検出や、花器感染する他の病原菌や腐生菌との識別が困難であった。そこで、本菌が未熟子房への感染を経て種子伝染することに着目し、花器感染性の病原菌が侵入できない開花前の花を用い、未熟子房を脱色・透明化してエンドファイトを観察し、検出する手法を開発した。
成果の内容・特徴 1.
開花前の花序をラクトグリセロール(乳酸:グリセリン:蒸留水=1:2:1の混合物)に数時間~1晩程度浸漬して組織を脱色し、実体顕微鏡下で未熟子房を取り出す。透明化した未熟子房を微分干渉顕微鏡で透過観察すると、子房に感染しているNeotyphodiumエンドファイトの菌糸の状態を詳細に観察できる(図1)。
2.
微分干渉顕微鏡の焦点深度と偏光フィルタの調整により、サンプル内の菌糸を立体的に観察できるので、Neotyphodiumエンドファイトの子房、種子への感染過程の観察、および感染の有無の識別が可能である。
成果の活用面・留意点 1.
本法の活用により、イネ科草本の分類・同定に必須の過程である花序の観察と、エンドファイトの検出を同時に実施できることから、広範な植物種からの探索が容易になるほか、菌の感染生理等の研究にも応用できる。
2.
花序のラクトグリセロールへの浸漬時間を極端に長くするとサンプルが軟化して扱いにくくなるので注意する。
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