タイトル | 属間雑種フェストロリウムの放牧利用特性と維持年限 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
安藤 哲 大槻和夫 栂村恭子 的場和弘 |
発行年度 | 2003 |
要約 | イタリアンライグラスとトールフェスクの属間雑種フェストロリウムは、集約的な放牧下で生産性、採食性が良好であり、適切な放牧強度で利用すれば、長期間の利用が可能である。 |
キーワード | 放牧管理、イネ科牧草、フェストロリウム、放牧利用特性、維持年限 |
背景・ねらい | 温暖地においては、寒地型牧草が夏枯れを起こし、草地の維持年限が短くなる場合が多い。属間雑種フェストロリウムは組み合わせる両親によっては耐暑性が高く、集約的な放牧の適用地域の拡大に期待される草種である。そこで、畜草研で開発中の同草種を移植あるいは播種し放牧利用した場合の、生産量、採食量、植生の推移等を調査し、放牧利用特性と維持年限を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. イタリアンライグラス(ワセアオバ、ワセユタカ由来雄性不稔系統)とトールフェスク(極早生系統)の属間雑種フェストロリウムの播種草地のケージを用いた生産量は、1ha当たり乾物で10tあり、ペレニアルライグラス(フレンド)より多く、トールフェスク(ナンリョウ)と同程度である(図1)。 2. 育成牛5頭を1日放牧で11回、集約的に放牧利用したフェストロリウム播種草地の 年間採食量は、1ha当たり乾物で8t程度あり、ペレニアルライグラスとトールフェスクより多い傾向にあり、TDN採食量はペレニアルライグラスと同程度である(図1)。 3. フェストロリウム播種草地の採食利用率は、草量の多い春季を除いてペレニアルライ グラスとトールフェスクの中間にある(図2)。 4. 播種フェストロリウムの被度は利用3年後も60~70%を維持している。両親が複数系 統よりなり移植された同草種の被度は、利用6年後においても同様に60~70%を維持している。一方、ペレニアルライグラスは利用2年目から低下し、トールフェスクは60~80%を維持している(図3)。 5. 播種および移植フェストロリウムの茎数密度についても、各々利用3年後および6年後において1㎡当たり約2000本を維持している(図4)。 6. 以上のように、フェストロリウムは集約的な放牧下で生産性や採食性が良好であり、被度や茎数密度は3~6年後においても、低下が認められない。 |
成果の活用面・留意点 | 1. イタリアンライグラスとトールフェスクから育成した属間雑種の放牧特性の情報として利用できる。 2. 当該フェストロリウムは開発中であり、現在のところ十分な採種量を得るに至っていない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | イタリアンライグラス 寒地 耐暑性 播種 |