カラマツ林床におけるミヤコザサ賦存量の推定

タイトル カラマツ林床におけるミヤコザサ賦存量の推定
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 井出保行
下田勝久
斉藤吉満
中神弘詞
発行年度 2003
要約 カラマツ林床のミヤコザサは、一定の割合で新葉を保持しており、その賦存量(新葉量)はミヤコザサ現存量から簡便に推定できる。また、森林管理センターの森林調査簿および施行実施計画図から、その林齢分布の情報をもとにサンプリングを行えば、カラマツ林の林齢とミヤコザサ賦存量の関係式が精度良く作成可能であり、求めたい林のミヤコザサの賦存量が簡便に推定可能である。
キーワード 永年草地・放牧、森林調査簿、施行実施計画図、カラマツ林、野草
背景・ねらい  自給飼料の供給拡大が緊急の課題となっているが、中山間地等では傾斜地が多いため、自給飼料作物の作付け適地が少なく、その拡大には限界がある。一方中山間地には、古来より牛馬を放牧利用していたミヤコザサ(以下ササと呼ぶ)を持つ森林が多く存在し、飼料資源として今後の利用拡大を図るはかることが重要である。そこで、ササの可食部分である新葉の現存量(賦存量)を推定する方法を開発する。
成果の内容・特徴 1.
佐久森林管理センターから森林調査簿(林分ごとの齢・面積・樹種等のデータベース)および施行実施計画図(林分配置等の図)を入手し、様々な林齢のカラマツ林分を25カ所抽出し、8月中旬に、林分ごとに6サンプル、各々0.25㎡の地際刈り調査を行う。サンプルは、ササとそれ以外に分け、牛の嗜好性の高いササの新葉を賦存量として別に分ける。
2.
浅間山南山麓のカラマツ林床では、現存量の約95%をササが占め、30%を当年展葉した新葉が占める。各林分でのササの現存量に対する新葉への配分比は一定である(図1)。それゆえ、少量のササの地上部現存量のサンプルから、配分比と乾物率を求めれば、ササの賦存量が容易に推定できる。
3.
浅間山南山麓のカラマツ林は、林齢が約17年前後で1回目の間伐が行われ、60年に達すると皆伐か最終間伐が選択される。ササは、間伐による光環境の好転とその後の悪化に合わせて増減を繰り返すため、カラマツ林分の林齢と賦存量との関係に5次式を当てはめると、有意な推定式が作成できる(図2)。
4.
推定式と森林調査簿等から、カラマツ林579haにおけるササの賦存量は302 tonDMであり、平均0.52 tonDM/ha存在すると推定される(図3)。このように、カラマツ林床のササの賦存量は、森林管理センターで容易に入手可能な森林調査簿と施行実施計画図と、25林分程度の簡便な刈り取り調査により、容易に推定できる。
成果の活用面・留意点 1.
営林署管轄のカラマツ林に放牧する際、放牧頭数の決定に役立つ。
2.
高次の推定式を当てはめる場合は、1回間伐で3次、2回で5次というように奇数次にし、林齢から賦存量を推定する際に外挿しない。
図表1 226905-1.gif
図表2 226905-2.gif
カテゴリ 傾斜地 飼料作物 中山間地域 データベース

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