携行型電牧を用いた省力的クリープフィーダーによる放牧子牛の発育改善

タイトル 携行型電牧を用いた省力的クリープフィーダーによる放牧子牛の発育改善
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 1997~2003
研究担当者 小路 敦
中西雄二
平野 清
発行年度 2003
要約 安価で設置が容易な携行型電牧とマルチポールを利用したクリープフィーダーを用いることにより、放牧子牛は草質が低下する夏期においても、日増体量0.9kg以上の良好な値を示し、生時~離乳時(4か月齢)まで舎飼子牛とほとんど等しい発育を示す。
キーワード 放牧、肉用牛、クリープフィーディング、暖地型牧草
背景・ねらい
 近年、放牧慣行のなかった九州の低標高地おいて果樹園跡や桑園跡等の遊休農地を利用した肉用繁殖牛の暖地型牧草放牧が実施されてきている。暖地型牧草は夏期に旺盛な生育を示すが、栄養価は低く、放牧子牛は舎飼子牛に比べ発育が低下するため、親子放牧はほとんど実施されていない。そこで、放牧子牛の発育改善のため、携行型電牧を利用した低コスト・省力的クリープフィーディング法について検討する。
成果の内容・特徴 1.
黒毛和種母子を供試し、濃厚飼料を補給しない無補給区(5頭)と携行型電牧とマルチポールを利用した子牛のみ採食できるクリープフィーダーを用いて濃厚飼料を自由採食させたクリープ区(11頭)をバヒアグラス草地に5月から10月まで輪換放牧した。舎飼子牛(4頭)は濃厚飼料とイタリアンライグラス乾草を自由採食させた(図1,図2)。
2.
バヒアグラスの粗蛋白質含量は7月以降は10%以下に低下し、濃厚飼料無補給区の放牧子牛の日増体量は0.7kg以下の値で推移する。それに対して、クリープ区の放牧子牛は夏期においても日増体量は0.9kg以上の良好な値を示し、生時~離乳時(4か月齢)までの日増体量は0.98kg、離乳時体重146kgと無補給区より体重は約30kg重く、舎飼子牛とほとんど等しい発育を示す(図3、表1)。
3.
夏期(8月、平均気温27.4℃)における哺乳及び濃厚飼料の採食パターンについては放牧子牛と舎飼子牛はほぼ同様のパターンを示すが、牧草の採食パターンについては放牧子牛は舎飼子牛と異なり、深夜及び早朝に採食行動のピークが見られる(図4)。
4.
1日の各行動形の時間割合は採食(草)、反芻、休息、哺乳行動については放牧子牛と舎飼子牛は差異がみられないが、放牧子牛は濃厚飼料の採食時間が舎飼子牛より長い傾向にある(表2)。
5.
放牧子牛の血液性状については血漿総蛋白量が平均6.0g/dl、ヘマトクリット値が平均37.5%、BUNは平均9.4mg/dl、GPTは平均10.6IU/Lと正常な値であり、舎飼子牛と差異は認められない。
6.
携行型電牧とマルチポールの利用により、クリープフェンスの設置は容易であり(設置時間約15分)、また、携行型電牧は安価(約3万円)である。
成果の活用面・留意点 1.
沖縄県の暖地型牧草地において現地実証を行い、普及を開始しており、放牧を利用した低コスト・省力的肉用子牛生産に適用できる。
2.
携行型電牧は乾電池の他、不用になった自動車やトラクターのバッテリーも電源として利用できる。
図表1 226924-1.gif
図表2 226924-2.gif
図表3 226924-3.gif
図表4 226924-4.gif
図表5 226924-5.gif
図表6 226924-6.gif
カテゴリ イタリアンライグラス くり 低コスト 肉牛 繁殖性改善

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