タイトル | 豚に硬化油あるいは桐油を給与すると共役リノール酸(c9t11-CLA)が増加する |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
梶 雄次 柴 伸弥 松崎正敏 常石英作 石田修三 |
発行年度 | 2003 |
要約 | ショートニングなどの食用油脂の1つである硬化油(トランス酸)を豚に給与することによって、豚の体組織にCLA(c9t11)が蓄積する。また、桐油(エレオステアリン酸)の給与によって、豚の体組織(特に肝臓や心臓)にCLA(c9t11)が多量に蓄積する。 |
キーワード | ブタ、共役リノール酸、硬化油、桐油、トランス酸、エレオステアリン酸、畜産物・品質 |
背景・ねらい | 反芻動物に特徴的な脂肪酸である共役リノール酸(以下,CLA)におけるガン予防が注目され、その後CLA(c9t11)における成長促進効果や、CLA(t10c12)における脂肪蓄積抑制効果が報告されている。単胃動物である豚に対して,CLA(c9t11)の前駆物質であるトランス酸(trans-C18:1)の多い硬化油、あるいは共役リノレン酸(エレオステアリン酸)の多い桐油を給与して、体組織へのCLA蓄積を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 約5ヵ月齢で体重93kgのLWxD豚に、硬化油を200g/日×35日間給与(硬化油区)すると、背脂肪内層のCLA(c9t11)割合は0.60%と、ハイオレイックヒマワリ油を200g/日×35日間給与した場合(対照区)の0.05%よりも高くなる(表1、表2)。 2. 硬化油区の背脂肪CLA(c9t11)割合は反芻動物の皮下脂肪と類似した値となる。しかし、硬化油中のトランス酸(trans-C18:1)にはCLA(c9t11)に変換されうるt11-C18:1以外の多くの異性体があるため、硬化油区の体組織中にはc9t12-C18:2 が検出されるとともに、多量のトランス酸(trans-C18:1)の残留がみられる(表2)。 3. 約5ヵ月齢で体重93kgのLWxD豚に、桐油を21g/日×35日間摂取(桐油区)させると、背脂肪内層のCLA(c9t11)割合は1.75%と著しく高い値となる(表1、表2)。 4. 桐油区の肝臓中CLA(c9t11)割合は11.08%、心臓は7.33%と、対照区の肝臓0.01%、心臓0.03%と比較して著しく高い値となる(表2)。 5. 桐油区の皮下脂肪、腎脂肪、黄色骨髄には、α型エレオステアリン酸の移行蓄積が認められるが、ロース芯、肝臓、心臓には検出されない(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 給与飼料と家畜の体組織における脂肪酸組成との関連を検討する際の参考資料となる。 2. 給与油脂の脂肪酸(トランス酸あるいはエレオステアリン酸)が体組織に蓄積する。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | ひまわり 豚 |