放牧牛の排糞は草地の種多様性を維持する

タイトル 放牧牛の排糞は草地の種多様性を維持する
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 1997~2001
研究担当者 福田栄紀
目黒良平
八木隆徳
発行年度 2003
要約 シバ型草地においてウシによる排糞は多様な草種の種子繁殖とその存続を保証し、放牧条件下で草種の多様性の維持に貢献する。
キーワード 種多様性、排糞、シバ型草地、放牧、ウシ、永年草地・放牧
背景・ねらい  放牧草地において排糞の周囲は不食過繁地となり、構成種の種子繁殖の場になること、長年の排糞除去は草地の土壌肥料養分を低下させることを既に明らかにした。しかし、排糞の存否が草地の種多様性維持に及ぼす影響については、長期間の調査が必要であり、その実証はされていない。そこで、家畜栄養学的にもまた景観植物の維持にも好ましい多様性の高い放牧草地の維持管理技術の開発に資するために、長期にわたる排糞除去の有無が草地の種多様性維持に及ぼす影響を解明する。
成果の内容・特徴 1.
平均出現草種数は、処理開始当初には排糞有無の両区間で差がみられないが、3年目以降糞有り区の方が高く推移する(図1)。8年間の総出現草種数は、糞有り区65、糞なし区49であり、糞有り区が多い。
2.
草種の多様度指数は、糞有り区ではほぼ一定の高い値で推移し種の多様性は高く保たれるが、糞無し区では処理開始4年目以降に低下する(図2)。
3.
草種構成割合は処理開始当初両区間で大差ないが、8年目では糞有り区は多数の草種が混み合って出現する。一方、糞無し区は少数の優占草種が寡占するという、より単純な草種構成を示す(図3)。
4.
タチツボスミレ、シロクローバ、ヘビイチゴ等は種子繁殖を不食過繁地に依存する割合が高いため、これらを含む景観に優れる植物は糞有り区でより多く維持される(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
種多様性の推移・維持状態を解明する際の参考となる。
2.
地域が変わると草種の種類やその割合、多様度指数は変わる可能性がある。
図表1 226945-1.gif
図表2 226945-2.gif
図表3 226945-3.gif
カテゴリ 肥料 いちご 管理技術 すみれ 土壌管理技術 繁殖性改善

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