タイトル | ショートミルクチューブにおいて乳汁流を検知する光学式センサの特性 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
本田善文 長谷川三喜 市来秀之 |
発行年度 | 2004 |
要約 | ショートミルクチューブ管内において乳汁流を検知する場合、CdSセルによる光透過型センサは流量検出に乳脂肪率の影響を受けるが搾乳終了の判断は可能である。一方、CCDカメラからの映像をグレイレベル平均すると乳脂肪率の影響を受けずに流量を推定できる。 |
キーワード | 飼育管理、乳用牛、ミルカ、乳汁、光学式、センサ、流量 |
背景・ねらい | 既存のミルカで搾乳の終了を判断するために乳汁流を検知するセンサは、4本の乳頭から各別に搾乳された乳汁をミルククローで合乳した後、転倒升式流量計等で乳汁の有無を検知しているが、装置が大きく乳頭毎に検知するシステムに適用できない。そこで、圧力変動や流量、乳頭の形態によって複雑に流れが変化するショートミルクチューブ管内において、乳頭毎に流量を検知する小型センサの開発を目指して、光学式センサ(光透過型センサおよびCCDカメラ)を開発して乳汁流を検知する場合の特性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 受光量に応じて抵抗値が変化するCdSセルとLEDをショートミルクチューブの外側から対向させ、管内を通過する乳汁による遮光率の変化によって流量を推定する光透過型センサ出力は、搾乳中に変化する乳脂肪率(実際の搾乳では搾乳開始から終了までの間に乳脂肪率が0.8%から6.0%程度まで漸増)に影響される(図1)。 2. 光透過型センサによる乳頭毎の搾乳終了の判断方法について、乳脂肪率の漸増に伴って増大するセンサ出力に対して乳汁流が急激に減少する時点を検知する方法を検討し、「60秒前の5拍動分の出力平均値よりも40%低下した時」とすれば搾り残しおよび過搾乳のない判断が可能である(図2)。 3. ショートミルクチューブ内を通過する乳汁を小型カラーCCDカメラで撮影し、映像のグレイレベル平均で流量を推定する方法では、1kg/min付近を境にして流量の回帰式は高流量域では直線で、また、低流量域では別の2次関数で回帰される(図3)。これは、高流量域では溢流と空隙が規則的に繰り返され、低流量域では空気を多く含む壁面流となり、流れ方が異なるためである。本方式では乳脂肪率の影響が極めて小さいため、光透過型センサよりも乳汁流量を精度良く推定できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 乳頭毎に乳汁流を検知して搾乳動作を制御・停止するミルカの製品化および乳頭毎に乳汁中の成分を検知するセンサの開発のための基礎的知見となる。 2. 流量および乳成分等を検知するセンサを開発する場合、センサ出力に影響を及ぼす乳脂肪率の漸増のほか、ショートミルクチューブ管内での逆流や搾乳後半に発生する細かい気泡などへの対応も必要であり、これらを考慮した検知アルゴリズムあるいは複数のセンサとの組み合わせ方法を検討する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | カラー |