タイトル | 小規模C1化学変換プラントのための小型・効率的メタノール合成装置 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
坂井正康(長崎総科大) 小林 真 村上信明(長崎総科大) |
発行年度 | 2004 |
要約 | C1化学変換によるバイオマス由来ガスを原料としたメタノール合成装置について、小型化・低圧化に伴う効率低下を防ぐための5段式の合成・気液分離装置は、合成圧力3MPaで70%の転換率が見込まれる。 |
キーワード | 飼料作物、C1化学変換、バイオマス、メタノール、飼料作物開発 |
背景・ねらい | バイオマスのエネルギー利用法として、植物由来バイオマスをガス化し約50%の収率(メタノール重量/バイオマス乾物)でメタノールに変換できるC1化学変換法が注目されており、既に処理能力が乾物240kg/日規模のバイオマスガス化メタノール合成試験装置「農林バイオマス1号機」を製作し運転条件の解明を進めている。メタノール合成には天然ガスを原料とした実用技術で8MPa、1号機でも4MPaの圧力を要しており、合成装置の小型化すなわち低圧化は効率の面で困難であったが、農林業から発生するバイオマスは石油エネルギーと比べて少量かつ分散しているため、小型・低圧でも変換効率を高めうる5段式メタノール合成装置を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. CO、H2混合ガスを触媒反応後、冷却して気液(気体:未反応の混合ガス、液体:合成されたメタノール)分離するメタノール合成装置を改良し、逐次抽出する5段式にすると、未反応ガスのみを次の触媒反応に戻すことができる(図1)。 2. 5段抽出におけるメタノール転換率(モルベースでの、合成メタノール/供給ガス)を従来法(1段抽出に相当)と比較すると、合成圧力1MPa(約10気圧)では約4倍、1.5MPaでは約6倍に達し、平衡転換率を大きく上回る効率を示す(図2)。メタノールに転換されなかったガスはガスエンジン等で燃料として利用できる。 3. 平衡転換率からみて、実用機を想定した合成圧力3MPaではメタノール転換率70%を達成でき、所要動力は既存技術の1/3程度に低減できる見込みである。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 既知の知見では効率化には大規模・高圧力が必要であったが、多段化によって小規模・低圧力のバイオマス変換プラントでもメタノール転換率が維持できる。 2. 実用機開発に向けて、高圧化による転換率向上を追究するとともに問題点の抽出を行い、適正圧力を選択する必要がある。さらに、バイオマスの供給・ガス化も含めたシステムの実用化が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 飼料作物 |