タイトル | 小規模放牧地向け低コスト簡易高張力線電気牧柵 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
小迫孝実 塚田英晴 深澤 充 的場和弘 落合一彦 清水 亨(サージミヤワキ(株)) 井田宏之((社)エゾシカ協会) |
発行年度 | 2004 |
要約 | 直径1.6mmの高張力線を用いた簡易電気牧柵システムは、従来の直径2.5mmのものを用いた電気牧柵に比べ、資材費で73%、設置労力が69%と低コストで設置が可能である。ポリワイヤー電気牧柵より高い脱柵防止機能が期待できる。 |
キーワード | ウシ、放牧、電気牧柵、脱柵防止、低コスト、小規模放牧地、水田 |
背景・ねらい | 設置が容易なポリワイヤー電気牧柵の普及により、水田、耕作放棄地等への放牧が各地で広がりを見せている。しかし、このような小規模放牧地においては、物理的に脆弱なポリワイヤー電気牧柵がそのまま外柵として使われているため、近隣農地等への放牧牛の脱柵の可能性が高く、放牧飼育に十分慣れたおとなしい牛の放牧に限られている。一方、従来型の太い高張力線を使った電気牧柵は牛が脱柵しにくいものの、その設置には多大な労力とコストを要する。そこで、低コストで簡単に設置が可能であり、かつ脱柵防止機能が高い牧柵を開発し、水田や低未利用地の放牧利用拡大に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 従来の電気牧柵に使用される高張力線(2.5mm)を1.6mmに変更することで、脱柵に対する物理的な強さをある程度確保しつつ設置を容易にした簡易高張力線電気牧柵(以下簡易電気牧柵)システムの標準仕様を図1に示す。高張力線の強度の変更に伴い仕様を次のように決定した。隅部の柱には、従来の丸太(直径15cm×長さ270cm)より細いもの(直径9cm×長さ240cm)を使用する。地中に打ち込む支柱は24m間隔とし、その間に高張力線の上下間隔を維持するためのステイを8m間隔で入れる。柱及びステイの素材には絶縁木を使用する。 2. 外周400m、3段張りの外柵設置に必要な資材費(電牧器本体を除く)は、簡易電気牧柵が約10万円で、従来の高張力線電気牧柵(以下従来型)の73%である(表1)。1mあたりの資材費は、従来型296円、ポリワイヤー178円に対して、簡易電気牧柵は228円である。 3. 簡易電気牧柵の設置作業は、簡単な機械及び道具で対応することができ、従来型の設置に必要であった重機が不要である。特に、隅部の柱の設置及び高張力線の取扱いが容易となるため、全体の設置に要する労力は2.3人・日で、従来型の69%である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 簡易電気牧柵は、ポリワイヤー電気牧柵よりも牧柵強度が高いため、牛の脱柵防止が重要視される放牧地において活用が期待され、今後市販される予定である。 2. 電気牧柵は基本的に牛の心理的障壁を利用するものであることから、牛に対して事前の馴致が必要である。 3. 隅部の柱設置場所の地質状況によって作業に要する時間及び機械に変動がある。特に軟弱土質では、ネカセなど補強材の設置が不可欠である。 4. 外部電源は電圧30ボルト未満のものを使用すること。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | コスト 水田 低コスト |