タイトル | ウシ脂肪組織タンパク質を2次元電気泳動法により分離するためのサンプル調製 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2003~2004 |
研究担当者 |
河上眞一 山田知哉 中西直人 |
発行年度 | 2004 |
要約 | ウシ脂肪組織タンパク質を2次元電気泳動法で分離するための組織溶解液を調製することで、脂肪を多く含んだ組織中のタンパク質分解能を高め、ウシ筋肉内脂肪に特異的に発現するタンパク質を分離することが可能である。 |
キーワード | 肉用牛、筋肉内脂肪、2次元電気泳動法 |
背景・ねらい | ウシ筋肉内への脂肪交雑は、我が国の枝肉格付けにおいて最も重要な要素の一つである。2次元電気泳動法は、組織中のタンパク質を等電点および分子量の違いにより分離する方法であり、ウシ筋肉内脂肪に特異的に発現する複数のタンパク質を同時に解析するための有効な手法であるが、脂肪組織は大量の脂肪を含有するためにそのタンパク質の分解能が非常に低く、同法の適用は困難である。よって本研究では、ウシ筋肉内脂肪タンパク質の分離に最適な組織溶解液を調製し、脂肪組織に対して分解能の高い2次元電気泳動法を開発する事により、ウシ筋肉内脂肪に特異的に発現する分子を分離する事を目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 従来の方法(Swiss Plot、8 M尿素、4% CHAPS、40 mMトリス、65 mM DTE、0.05 % SDS)を元にして、尿素、チオ尿素、界面活性剤、還元剤、両性担体等の種類、濃度等を変更した組織溶解液を多数作成し、それらを用いてウシ筋肉内脂肪組織を溶解して2次元電気泳動法により組織タンパク質を分離した。その結果、8 M尿素、2%NP-40、0.8 %アンフォライン、1 %DTTの組成(表1)が、従来法と比較して最もウシ脂肪組織由来タンパク質の分解能が高い。 2. 上記組成の組織溶解液を用いて、黒毛和種筋肉内脂肪および筋間脂肪組織を溶解し、等電点ゲルのpH勾配を4から10に固定した2次元電気泳動法を行い、タンパク質分離を両脂肪組織間で比較した結果、筋肉内脂肪組織に特異的なタンパク質スポットが多数観察される(図1)。また、等電点ゲルのpH勾配を6から8に固定すると、分離されるタンパク質スポットの数は増加し、より分解能が高まる(図2)。よって、標的とするタンパク質スポットが幅広く分布する場合は等電点ゲルのpH勾配を4から10に固定し、分布域が限定されている場合はpH勾配を6から8に固定する。 3. これらの改良により、より多くのウシ脂肪組織由来タンパク質の同時解析が可能となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 肉用牛における脂肪組織タンパク質の研究に活用出来る。 2. 黒毛和種去勢牛における結果である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 肉牛 |