タイトル | 近赤外分光分析法による牛ふん堆肥の窒素分解パラメータの推定 |
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担当機関 | 作物栄養研究室 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
畠中哲哉 原田久富美 須永義人 川地太兵 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 原スペクトルの2次微分値によるPLS回帰分析法を利用した近赤外分光分析法により、牛ふん堆肥に含まれる窒素の単純型分解パラメータが推定できる。 |
キーワード | 近赤外分光分析法、家畜ふん尿、窒素、分解、パラメータ、土壌肥料 |
背景・ねらい | 家畜ふん堆肥等の耕畜連携による循環利用が求められている。その中で堆肥の肥料効果について見直しが進められているが、簡易な評価法は開発されていない。有機物に含まれる窒素の肥料効果はその分解量で決まるが、窒素の分解量とそのパターンを表す指標として反応速度論的解析法による分解パラメータが有用である。しかし、このパラメータを得るには非常に労力と時間がかかる。そこで近赤外分光分析法を利用して、牛ふん堆肥の窒素分解パラメータ(単純型)が推定できるかどうか検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 牛ふん堆肥(副資材としてオガクズ、モミガラ、ワラ類、戻し堆肥等を用いたもの)を乾燥・粉砕したのち、2mmのふるいで篩別した堆肥の窒素分解量を瓶培養法(温度20、25、30℃の3段階、堆肥に含まれる全窒素量が50~60mgとなるように褐色低地土100gに混合、畑水分条件にて21週間培養)で測定した。サンプルとして用いた牛ふん堆肥81点の培養結果を反応速度解析プログラムで解析し、Y=A×(1-EXP(-K×T))+Bの反応式で表される単純型窒素分解パターン(図1)を示す堆肥67点を選出した。パラメータAは分解可能な有機態窒素量、Bは無機態窒素量、Kは微生物による分解速度定数、Eaは微生物分解の活性化エネルギーを表す。一方、近赤外分光分析計(FOSS社NIRSystems 6500)により同一堆肥の波長400~2500nmの原スペクトル(5反復の平均)と2次微分値を得た。 2. 単純型分解曲線を示した堆肥の窒素分解に関与する特性値を表1に、得られた4つの分解パラメータ値と有機態窒素の分解率を表2に示す。1日あたりの分解率(%、Kを100倍した値)は最大値と最小値に4倍の差があり、平均値は2.2%である。AとKの値が大きく、Eaの値が小さいほど初期から窒素分解が進行し、しかも分解量が多く、分解率が高くなる(たとえば図1の堆肥Bに相当)。 3. 牛ふん堆肥67点から選んだ36点の原スペクトルと2次微分値を供して各パラメータ ごとにPLS回帰分析法により検量線を作成し、残りの堆肥31点によりそれらの検量線の検証を行うと、原スペクトルよりも2次微分値を用いた検量線の精度が高い(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ここで得られた検量線を移設することで、牛ふん堆肥の単純型窒素分解パラメータの推定・予測が可能となる。 2. 副資材にオガクズを用い、炭素/窒素比が25以上、全窒素濃度が1.8%以下のグループの牛ふん堆肥は単純型を示さないので適用できない。また、検量線を移設する場合には、機種、型式、精度の点検など適用条件について十分考慮するとともに、牛ふん堆肥は乾燥、粉砕したのち篩別したものを用いる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 乾燥 土壌管理技術 評価法 |