タイトル | 近赤外分析法によるトウモロコシ茎葉の飼料成分の推定 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
村木正則 伊東栄作(畜産草地研) 澤井晃 江口研太郎 黄川田智洋(畜産草地研) |
発行年度 | 2004 |
要約 | サイレージ調製前のトウモロコシ茎葉の飼料成分を、近赤外分析法によって簡易に精度良く推定できる。優良品種の選定や品種育成における茎葉高消化性系統・個体の選抜に利用できる。 |
キーワード | トウモロコシ、近赤外分析法(NIRS)、飼料成分、飼料作物育種 |
背景・ねらい | 自給飼料の高品質化が求められる中で、大きな変異をもつトウモロコシ茎葉部の栄養価や消化性に注目した品種育成や品種選定が重要になっている。しかし、その指標となる飼料成分の化学分析には非常に大きな手間と時間を要し、多くの品種・系統を調査することは困難であるため、化学分析にかわる簡易で精度の良い方法が必要である。一方、トウモロコシの近赤外分析法ではホールクロップサイレージが対象とされてきたため、サイレージ調製前の茎葉に利用することはできない。そこで、多様なサンプルの評価が必要な暖地の品種育成にも利用できる、近赤外分析法によるサイレージ調製前のトウモロコシ茎葉を対象とした飼料成分を推定する方法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. スペクトル抽出法によって、飼料成分含量について大きな範囲をもつ検量線用サンプルを効率よく抽出することができる(表1、表2)。 2. 近赤外分析法のPLS回帰分析による飼料成分の推定値と化学分析値との相関係数は高い。同一年次のサンプルではEI値による判定でも推定精度はいずれも高く、精度良く飼料成分を推定することができる(表2)。 3. 栽培地・栽培年次・調製方法等の異なるサンプルの飼料成分の推定でも、細胞内容物(OCC)、細胞壁物質(OCW)、低消化性繊維(Ob)含量は高い推定精度を示し、トウモロコシ育種への実用上、十分な精度が期待できる(表3)。 4. トウモロコシで茎葉の栄養価や消化性と非常に高い正の相関があるOCC含量が、特に精度よく推定できる(表3)。 5. 化学分析と比較して極めて簡易で、1サンプル当たり約3分と所要時間も10分の1程度になる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. トウモロコシ優良品種の選定や品種育成において茎葉高消化性系統・個体の選抜に利用できる。 2. 検量線は必要に応じて更新し、検量線および検量線の作成に用いたサンプルは、検量線の移設のために提供できる。 3. 栽培地・栽培年次・調製方法等の異なるサンプルで正確な飼料成分を推定する場合には、バイアスとスキューを調整(検量線を較正)する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 育種 近赤外分析 飼料作物 とうもろこし 品種 |