タイトル | 小面積でも集約放牧で購入飼料からの蛋白質供給量を節減できる |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
的場和弘 栂村恭子 大槻和夫 安藤 哲 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 集約放牧の導入により高蛋白質の放牧草が供給されることから、草地面積10a/頭程度の時間制限放牧でも平均的乳量水準の乳牛群であれば、購入飼料から供給される蛋白質量を2割程度節減できる。 |
キーワード | 放牧、乳用牛、集約放牧、粗蛋白質 |
背景・ねらい | 酪農への放牧の導入は土地の確保の難しさや、乳質の低下の懸念等により進んでいなかったが、近年、北海道で低コストが注目され導入が増えてきている。放牧草は貯蔵草やコーンサイレージに比較して粗蛋白質(CP)含有率が高いので、十分な土地の確保の難しい地域においても、時間制限の集約放牧を導入することにより購入飼料、特に蛋白質飼料の節減が期待できる。そこで、小面積を利用した放牧による購入飼料の節減効果を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. ペレニアルライグラスとシロクローバの混播草地で、割当草量(採食量)を2段階(多い:放牧 H、少ない:放牧 L)に設定した搾乳牛の時間制限の集約放牧試験を春季と夏季に実施し、併給飼料の給与は日本飼養標準〈乳牛〉に従って設計した(図1)。なお、放牧は朝搾乳後から午後までの4∼5時間とした。 日乳量約25㎏の牛では放牧草を3∼4㎏DMの摂取で、TDNの1∼2割、CPの2∼3割を摂取することができる。これにより放牧しない場合に比べ、TDNで1割、CPで2割近く購入飼料を節減でき(図1)、乳量、乳脂率の低下は見られない。 2. 放牧草地10aから得られる栄養の割合を放牧草生産量から試算すると、春の高生産の時期には、日乳量30㎏の牛でもTDNの33%、CPの43%が確保できる(表1)。これにより、乳量8000kgで春分娩した牛を4月から10月まで放牧した場合、放牧草地から年間必要な蛋白質量の2割程度を自給できる。 3. 採草地の一部を1頭当たり6∼10aを放牧利用(時間制限)に転換した酪農家の調査からは、濃厚飼料のうち蛋白質補給用のサプリメントのCP含有率を46%から26%に変更し、放牧期間中の濃厚飼料の日給与量も14から10.3kgに約25%削減したことで、乳飼比が22.3から16.6と大きく改善することが認められる(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 経営面積の少ない酪農においても放牧の導入を検討する資料となる。 2. 牧草の栄養価を高く維持する集約放牧(短期輪換、短草利用)管理条件で、北関東で得た試験成績である。 3. 時間制限放牧等により過放牧を防止し、草地管理を適正に行う。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 経営管理 低コスト 乳牛 |