飼料イネのイネツトムシの多発生に関与する要因

タイトル 飼料イネのイネツトムシの多発生に関与する要因
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2004~2006
研究担当者 神田健一
江村 薫(埼玉農研センタ)
柴 卓也
発行年度 2005
要約  5月中旬に移植した飼料イネにおけるイネツトムシの発生は少なかったが、6月中旬に移植した飼料イネではイネツトムシが多発生する。また、施肥量の多いイネで発生が多い傾向がある。
キーワード 虫害、飼料イネ、イネツトムシ、移植時期、多発生、乾物収量
背景・ねらい  飼料イネを栽培するとイネツトムシ(イチモンジセセリ)が多発生し、中肋を残して葉身がほとんど食いつくされることがよくある。食用イネでは、育苗時や移植時の農薬施用により防除が可能であるが、飼料イネではこれらの農薬は使用できない。
飼料イネの田植え時期や施肥条件がイネツトムシの多発生に及ぼす影響を明らかにし、イネツトムシ発生抑制のための基礎的知見を得る。
成果の内容・特徴 栃木県大田原市の施肥量や田植え時期の異なる3枚の飼料イネ水田においてイネツトムシの発生量を調査した。田植え時期が5月18日で、10アールあたりの元肥が標準区で堆肥3.3t(窒素成分量32.0kg)、尿2.5t(窒素成分量5.25kg)、化学窒素肥料2kgで、その倍量施用区(堆肥と尿)および6月14日に田植えをした標準施肥区の3枚である。1区の面積は約30アールである。イネツトムシの調査は6月23日、8月2日、8月20日に行った。品種は「はまさり」。堆肥、尿の窒素成分量は物質動態研究室のデータ。
1.
5月18日に田植えした飼料イネでは、元肥の施用量の多い水田で発生量が多い傾向が見られた(表1、表2)。
2.
6月14日に田植えした水田では7月下旬∼8月上旬にかけてイネツトムシの発生が激しく、8月2日の調査で1株当たり10.3個体(表2)、8月20日には13.1個体であった(表3)。これらのイネの葉は中肋を残して著しく食害される状態となった(図1)。
3.
8月2日にカルタップ水溶剤(パダンSG水溶剤)1500倍液を散布したところでは、8月20日の1株当たりのイネツトムシ個体数が無散布の13.1個体に対し、4.8個体に減少していた(表3)。
4.
収穫時における収量は、6月14日移植の殺虫剤無散布区が5月18日移植標準元肥区の83.8%、6月14日移植の殺虫剤散布区が97.8%であった(表3)。
5.
以上のことから、イネツトムシの発生は遅植え・多肥栽培すると多くなる傾向があるので、発生状況を観察し適切な防除を行う。
成果の活用面・留意点 1.
イネツトムシの発生を未然に防ぐための基礎的知見となる。
2.
2005年度はほとんど発生せず、単年度(2004年)の結果である。
図表1 227110-1.jpg
図表2 227110-2.gif
図表3 227110-3.gif
図表4 227110-4.gif
カテゴリ 肥料 病害虫 育苗 水田 施肥 農薬 品種 防除

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