タイトル |
茎切片の汁液分析を利用した黄熟期トウモロコシのカリウム濃度の簡易推定法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
須永義人
川地太兵
畠中哲哉
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発行年度 |
2007 |
要約 |
黄熟期におけるトウモロコシの地上部全体のカリウム濃度は、稈長の1/10にあたる地際からの高さから採取した1cm幅の茎切片搾汁液のカリウム濃度と茎切片の乾物率から簡易に推定できる。
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キーワード |
カリウム、汁液分析、トウモロコシ、黄熟期
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背景・ねらい |
家畜ふん尿に由来する有機物の連用によって余剰なカリウムは土壌に蓄積するため、そこで栽培される飼料作物へのカリウムの過剰蓄積が懸念されており、生産現場での関心も高い。しかしながら、トウモロコシのような長大型飼料作物のカリウム濃度の定量には乾燥、粉砕、灰化といった煩雑な作業を伴う。そこで、収穫適期である黄熟期に収穫されたトウモロコシを対象とし、汁液分析を用いたカリウム濃度の簡易推定法について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- トウモロコシのカリウムは茎に最も蓄積することから茎のカリウム濃度に着目する。茎の新鮮物当たりのカリウム濃度(A)は、稈長の1/10にあたる地際からの高さ(茎の10%部位)から採取した1cm幅の茎切片搾汁液中のカリウム濃度によって推定できる(図1)。
- 茎の乾物率(B)は、10%部位茎切片の乾物率(搾汁後の茎切片乾物重÷搾汁前の茎切片新鮮重×100)から推定できる(図2)。
- 茎の乾物当たりのカリウム濃度は、A÷(B/100)で求められる。
- 3年間の栽培試験で黄熟期に収穫されたトウモロコシ462点の試料から得られた次の式を用いて、地上部全体の乾物当たりカリウム濃度(Y)は、茎の乾物当たりカリウム濃度(X)から推定できる。
Y=0.40X+3.45、決定係数=0.864、s=1.32、N=462
- 検証用サンプルに栽培年次の異なるトウモロコシ10品種(推定法の検討に供していない8品種を含む)を加え、本推定法の精度を検証した結果、従来法による分析結果とよく一致している(図3)。
- 表1の方法にしたがって、黄熟期におけるトウモロコシの地上部全体のカリウム濃度を推定できる。
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成果の活用面・留意点 |
- トウモロコシへのカリウムの過剰蓄積が懸念される場合など生産物のカリウム濃度の評価に利用できる。また、品種比較への利用も期待される。
- 供試したトウモロコシ品種はRM110~120、稈長196~300cmの範囲であり、刈り高10cmを想定している。極端な早生、晩生品種については別途検討が必要であり、また折損などにより草型が著しく損なわれている場合は適用できない。
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カテゴリ |
乾燥
飼料作物
とうもろこし
品種
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