牛が放牧されてもニホンジカの放牧地への出没は減少しない

タイトル 牛が放牧されてもニホンジカの放牧地への出没は減少しない
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2004~2007
研究担当者 塚田英晴
深澤充
小迫孝実 
発行年度 2007
要約 自動撮影カメラによる撮影頻度の比較では、牛の放牧密度が高くなってもニホンジカの放牧地への出没頻度は減少しない。ニホンジカを対象とする獣害対策として放牧を導入する際には注意を要する。
キーワード 獣害、ニホンジカ、放牧、放牧ゾーニング
背景・ねらい ニホンジカによる牧草被害が深刻化している。イノシシやニホンザルなどでは、耕作放棄地への放牧導入が獣害軽減に役立つ事例が報告されているが、ニホンジカに対して牛の放牧が十分な牽制効果を示すのかについては、定量的な検討が行われていない。そこで、自動撮影カメラを用いて放牧地におけるニホンジカの出没頻度を定量的に把握し、牛の放牧密度との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ニホンジカによる放牧地への出没は、日中を避けて薄暮から薄明にかけての夜間の時間帯に集中する(図1)。
  2. ニホンジカによる放牧地への季節的出没パターンは放牧地によって異なり、春から夏の草量が多い時期に集中して出没する場合(図2a)と、夏から晩秋にかけて草量は減少するものの交尾時期を迎えて出没頻度が増加する場合(図2b)がある。
  3. 放牧地における牛の放牧密度と放牧地におけるニホンジカの出没頻度との間に関連性は認められず(図3a,b)、ニホンジカの放牧地への出没は放牧牛の存在に左右されない。
成果の活用面・留意点
  1. 獣害対策としての放牧ゾーニングには、放牧による環境変化や放牧管理作業に伴う人の存在などの要因が指摘されており、その有効性を否定する結果ではない。
  2. ニホンジカに対する牽制効果として放牧を導入する場合、放牧牛の存在のみでは十分な牽制効果が期待できない点に注意する必要がある。
  3. 本研究は北関東の放牧地における結果である。
図表1 227203-1.gif
図表2 227203-2.gif
図表3 227203-3.gif
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