ヤマトシロアリのセルラーゼの精製と特性

タイトル ヤマトシロアリのセルラーゼの精製と特性
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1995~1999
研究担当者 中島信彦
渡辺裕文
野田博明
発行年度 1995
要約 ヤマトシロアリのセルラーゼ(分子量45,900と45,000)の精製に成功し、精製物に対する抗体を用いた免疫化学的手法によって、セルラーゼがヤマトシロアリの唾液腺でも生産されていることを解明した。
背景・ねらい これまで食材性昆虫は、共生微生物に依存してセルロースを消化するという定説が長く一般に認知されてきた。しかし、実際は昆虫自身もセルラーゼを生産していることを示唆する実験データが発表されつつある。そこで、昆虫由来の新規セルラーゼを探索し、さらに昆虫によるセルロース消化機能の解明を行う。まず、わが国の代表的なシロアリの一種であるヤマトシロアリを対象として、セルラーゼの精製法を確立し、さらに精製セルラーゼタンパク質に対する抗体を用いてシロアリ体内でのセルラーゼ生産部位を特定する。
成果の内容・特徴
  1. ヤマトシロアリ磨砕液よりゲル濾過およびハイドロキシルアパタイト吸着カラムクロマトグラフィーにより、セルラーゼ(endoβ‐1、4‐glucanase)を精製した(図 1)。
  2. 精製された分子量45,900(YEG1)およぴ45,000(YEG2)の二つのセルラーゼは、ともにpH6.0、50℃で最大活性を示した。また、40℃で少なくとも30分間は安定して活性を維持した。
  3. 精製セルラーゼ(YEG2)に対する抗体を用い、唾液腺磨砕液に対してウエスタンブロッティングを行ったところ、唾液腺に多量のセルラーゼが存在することが明らかになった。
  4. パラフィン切片上での免疫組織化学によっても、セルラーゼがシロアリの唾液腺で生産されることが確認できた(図 2)。
成果の活用面・留意点 精製されたセルラーゼおよびそれを使用して作製した抗体は、セルラーゼの酵素化学的性質の解明やセルラーゼ遺伝子のクローニングに活用されている。
図表1 227290-1.jpg
図表2 227290-2.jpg
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