タイトル |
昆虫由来キチンの化学構造特性 |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
カイコ蛹とカブトムシ幼虫のキチンは、甲殻類キチンと比べ非結晶領域の膨潤が起こりやすく、酸、アルカリ、酵素で分解されやすいので、同じα型の結晶構造を持つ甲殻類よりも化学修飾による反応性は高い。
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背景・ねらい |
昆虫のクチクラからはキチンが調製できるが、その結晶多形は甲殻類と同じα型構造で、化学構造に相違点は見つかっていない。一方、昆虫工場における有用物質生産システムの構築に伴い、昆虫工場廃棄物としてカイコ幼虫の死骸が多量回収できるようになった。そこで、昆虫工場廃棄物の資源化が実現に向けて稼働し始めたので、昆虫由来キチンの利用領域を開拓し、昆虫産業周辺基盤技術へ貢献するために、昆虫キチンの構造特異性の解明が望まれている。
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成果の内容・特徴 |
- カイコ蛹脱皮殻キチン及びカブトムシ幼虫クチクラキチンの結晶系をX線回折で調べたところ、斜方系に属し、(020)、(110)、(101)、(003)面の回折線が明確に現れたので、結晶多形は甲殻類と同じα型である(図1)。
- 塩素処理によって蚕脱皮殻キチンの非結晶領域はエビ殻キチンよりも加水分解されやすく(表1)、エビ殻キチンの酸加水分解による結晶化度の変化が69.8%から73.5%への微増に対し、単離精製した蚕蛹脱皮殻キチンの結晶化度は64.5%から81.3%に増加し、非結晶部が分解され、その結果結晶化度の増加が認められた。さらに、カブトムシ幼虫キチンのキチナーゼによる加水分解速度は、エビ殻キチンと比べ速い(図2)。これらの事実から、ジフェノール化合物が除かれた後も酸やキチナーゼが入りやすい昆虫キチン非結晶部分のルーズな高次構造が明らかになった。
- 昆虫キチンでは甲殻キチンよりも化学修飾が容易に起こるので、徐放性ミクロスフェア、分離膜、抗菌剤のような機能性キチン誘導体を合成する際、機能性反応基を効率的に導入でき、反応時間も短縮され、高い収率で機能性キチン誘導体が調製できることがわかった。
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成果の活用面・留意点 |
昆虫キチンは酸、アルカリ、酵素で分解されやすい反面、反応中に分子量の低下を招くので、反応温度を下げるか、低濃度の反応溶液を使って、温和な条件で反応を行う必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
カイコ
機能性
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