タイトル |
ブロッコリーベと病菌の分散媒使用による長期凍結保存法 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1992~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
人工培養できないブロッコリ-べと病菌の長期保存法を確立した。ブロッコリ-葉で増殖した分生胞子を10%dimethyl sulfoxide(DMSO)と5~10%スキムミルクを添加した水溶液で懸濁し、-20℃で1日予備凍結後、-80℃に移して保存する。
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背景・ねらい |
純寄生菌のブロッコリ-べと病菌(Peronospora parasitica)の保存は、従来宿主の植物体を用いる継代培養に頼ってきた。この方法は継代の作業が煩雑であり、菌株間の相互汚染も懸念される。本菌の発生生態や系統分化等の研究を効率的に推進するためには、分生胞子による安定した長期保存法の確立が必要である。そこで、凍結保存時の傷害を防止する分散媒を用い、べと病菌の分生胞子の-80℃における安定な長期保存法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 凍結による傷害から分生胞子を保護する最も有効な分散媒は、分生胞子の発芽率からみてDMSOである。スキムミルクも保護効果が認められる(表1)。
- 分生胞子の発芽率は、-80℃の凍結処理によって著しく低下するが、-20℃で1日予備凍結後、試料を-80℃に移動することにより、発芽率は-20℃の凍結 処理と同程度に向上する。
- 複数添加の保護効果を比較するため、5%DMSOにそれぞれ5%スキムミルク、5%ブドウ糖或は1%グルタミン酸ナトリウムを添加した分生胞子懸濁液を-20℃に保存すると、DMSOとスキムミルク添加で分生胞子の発芽率は最も高く維持されるが、保存3か月後には発芽力を失う。
- 10%DMSOと5~10%スキムミルクの混合水溶液で懸濁した分生胞子を-20℃で1日間予備凍結後-80℃で保存すると、分生胞子は1年後でも保存直後と同程度の高い発芽率を維持し、ブロッコリ-子葉に対して強い病原性が認められる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 凍結融解の繰り返しが病原性に及ぼす影響は未確認のため、試料は少量ずつ多数のチュ-ブに分注して保存し、融解した試料は再保存しない。
- キャベツ、ダイコン及びハクサイべと病菌も同様の方法で保存可能である。
- アブラナ科以外のべと病菌にも適用できる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
あぶらな
キャベツ
だいこん
はくさい
ブロッコリー
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