トレニアのアグロバクテリウムによる形質転換系の開発

タイトル トレニアのアグロバクテリウムによる形質転換系の開発
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  ゴマノハグサ科花きのトレニアにおいて、アグロバクテリウムによる効率の高い形質転換系を開発した。本転換系は花きにおける遺伝子の機能解析実験系として有用である。
背景・ねらい  形質転換技術は花きの育種において、ウイルス抵抗性の付与、日持ち性の延長あるいは新花色の作出などに幅広く利用できるものと考えられる。 現在、 アグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)による形質転換が最もよく試みられているが`質転換系が確立されている例は少ない。そこで、実験植物としても有用と思われるトレニアにおいて、アグロバクテリウムによる形質転換系を開発しようとした。
成果の内容・特徴
  1.  トレニアの500葉切片当たり10~20の形質転換植物を得ることができる効率の高い形質転換系を開発した。手順は次の通りである(図1)。トレニアの種子を無菌播種して植物体を育てる。十分に展開した葉を5mm角に切り、アグロバクテリウム(系統LBA4404)懸濁液に浸した後、ろ紙を敷いた培地(MS +BA 1.0mg/l +アセトシリンゴン 20μM)の上で7日間共存培養して、アグロバクテリウムを感染させる。その後、カナマイシン抵抗性を獲得した不定芽を選抜するため、カナマイシンを添加した選抜培地(MS +BA 1.0mg/l +カルベニシリン 100mg/l +カナマイシン 300mg/l)に移し、2週間毎に継代する。感染から4週間を経過した頃から、濃緑色の硬いカルスが形成され始め、しばらくするとこれらのカルスから茎葉が再分化する。再分化してきた植物体の葉片を選抜培地と同じ組成の培地で培養して、葉片テストを行い、最終的に形質転換植物を選抜する。
  2.  これらの手順により、除草剤ビアラホスに対して抵抗性を示す bar遺伝子を導入した形質転換植物は、ビアラホスを散布しても枯死しなかった(図2)。
  3.  形質転換植物の後代で、βーグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子の発現の分離を調べたところ、通常のメンデル遺伝に従うことが確認された(表1)。
成果の活用面・留意点
  1.  本成果はトレニアの遺伝子組換えによる育種に利用できる。また、トレニアは採種しやすく、形質転換植物後代における導入遺伝子の遺伝解析が容易であるので、本形質転換系は遺伝子の機能解析のための実験用としても利用できる。なお、トレニアは培養器内での開花・結実も可能であるが、採種のためには人工受粉が必要である。
  2.  カルスから再分化してくる植物の中には、非形質転換植物が含まれることがあるので、葉片テストなどによる確認が必要である。
図表1 227433-1.gif
図表2 227433-2.gif
図表3 227433-3.gif
カテゴリ 病害虫 育種 受粉 除草剤 抵抗性 トレニア 播種 りんご

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