タイトル |
茶園内からの溶菌微生物の分離と溶菌酵素の特性 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
チャ炭そ病病斑から本病病原菌を溶菌する微生物を数種類分離し、その中から溶菌活性の強い細菌菌株FL824Aを得た。本菌株を同定するとともに、拮抗因子として溶菌微生物が生産する溶菌関連酵素を解析し、そのうち 130 kDaのキチナーゼを精製、その特性を明らかにした。
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背景・ねらい |
茶園内では、病原微生物を含む種々の微生物が相互に影響を及ぼし合いながら生息していると考えられる。この微生物生態系を利用して病害を制御するには、茶園内でのチャの病原微生物を含む微生物間の相互作用を生態学的に解明することが必要である。そこで、本研究では、チャでの最重要病害であるチャ炭そ病に注目し、その病斑から本病病原菌を溶菌する微生物を分離するとともに、その利用技術開発のための基礎的知見を得るために溶菌微生物が生産する溶菌酵素の精製、および特性を明らかにすることを試みた。
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成果の内容・特徴 |
- チャ炭そ病病斑をPSA培地上に置床し、生育してくる菌叢の溶菌斑から数種類の溶菌微生物を分離した。その中からチャ炭そ病菌を強く溶菌する細菌菌株FL824Aを得た。
- 菌株FL824Aは、その細菌学的性質(表1)および形態的特徴から、Flexibacter属に属する。
- 菌株FL824Aの培養液中に溶菌に関与する酵素としてキチナーゼとプロテアーゼの活性を確認できた。キチナーゼについては、電気泳動後の活性染色によりキチナーゼ活性を示す複数のバンドを検出できた。
- 菌株FL824Aが生産するキチナーゼのうち、130 kDaのキチナーゼを精製することができた(表2)。130 kDaキチナーゼの等電点は5.3であり、アミノ酸組成は表3のとおりである。本酵素の活性における至適pHは4.5、至適温度は50℃であり、40℃までほぼ安定であった。キチナーゼ活性はAg+とHg2+で阻害されるが、他の金属イオンやEDTAではごくわずかか、ほとんど影響されない。
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成果の活用面・留意点 |
得られた130 kDaキチナーゼの遺伝子をクローニングすることができるとともに、それに基づいて溶菌微生物の定性的かつ定量的検出法を開発することができる。それを利用することにより、茶園内での溶菌微生物の生態的研究が可能となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
茶
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