窒素過剰供給領域における茶樹の生長、窒素吸収及び遊離アミノ酸蓄積特性

タイトル 窒素過剰供給領域における茶樹の生長、窒素吸収及び遊離アミノ酸蓄積特性
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者 岡野邦夫
松尾喜義
発行年度 1995
要約 茶樹の窒素吸収量は窒素供給量の増大に伴って増加し、それに伴い新芽中のテアニン等の遊離アミノ酸濃度も上昇する。しかし樹体に生理障害が現れる限界供給水準を越えると、新芽生産性が大きく低下する。また窒素過剰供給下では、テアニンに替わってアルギニンが大量に蓄積する。幼木の鉢栽培試験で得られた本成果は、多肥による高品質茶生産には限界があることを明瞭に示している。水準、新芽生産性、窒素過剰供給、アルギニン、高品質茶生産
キーワード 窒素吸収量、窒素供給量、テアニン、遊離アミノ酸濃度、生理障害、限界供給水準、新芽生産性、窒素過剰供給、アルギニン、高品質茶生産
背景・ねらい  茶園の施肥基準は、摘採等により収奪した樹体内窒素の補給を基本として、目標収量が
得られる数値が設定されている。一方、昨今の多肥栽培のねらいは新芽の遊離アミノ酸濃
度を可能な限り高めることにある。しかし、アミノ酸濃度増大に有効な施肥量の限界値は
不明なため、環境保全への配慮が必要とされながら、多肥傾向には歯止めがかかっていな
い。また、現状のような多肥栽培は樹体生理的にも問題が多い。そこで鉢栽培の幼木を用
いたモデル的な試験により、窒素の限界供給量付近における茶樹の生長、窒素吸収、遊離
アミノ酸蓄積特性を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 茶樹の生長量は窒素供給量の増大につれて高まるが、ある水準(120 kgN/10a/年相当)
    を超えると葉に生理障害が現れ、生長が抑制される。樹体生長からみた最適な窒素供給量
    は、生理障害の現れる水準の約 1/2 である。(図1)
  2. 窒素吸収量は「限界供給水準」(葉に生理障害が現れる水準)までは窒素供給量の増
    加に伴って増える。一方、施用された窒素の吸収率は、窒素供給量の増加に伴って直線的
    に低下する。(図2)
  3. 樹体の全窒素含有率や新芽の遊離アミノ酸含有率は、窒素供給量の増大につれて上昇
    し続ける(図3)。しかし、新芽生長(収量)は限界供
    給水準を超えると抑制される。
  4. 窒素供給量の増大に伴って新芽中のテアニン濃度は上昇するが、限界供給水準以降は
    頭打ちとなり、替わってアルギニン濃度が極端に高くなる。(図4)
  5. 新芽の遊離アミノ酸含量増大に有効な窒素供給量と収量増に必要な供給量は異なり、
    前者は後者の2倍近い。しかし限界水準を越えた窒素供給は、樹体に生理障害をもたらし
    新芽生産性を大きく低下させる。
成果の活用面・留意点
     本成果は幼木の鉢・温室栽培試験(6号素焼き鉢、窒素源は硫安)によっており、限界
    供給水準の数字(120 kgN/10a/年)は鉢表面積より換算した推定値である。従って、樹齢、
    根系分布、施肥法等の異なる成木茶園にそのまま適用することはできない。
図表1 227465-1.gif
図表2 227465-2.gif
図表3 227465-3.gif
図表4 227465-4.gif
カテゴリ 生理障害 施肥

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