日周温度によるキクの茎伸長制御における内生ジベレリンの役割

タイトル 日周温度によるキクの茎伸長制御における内生ジベレリンの役割
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者 腰岡政二
三浦周行
山崎博子
西島隆明
大和陽一
野中瑞生
発行年度 1996
要約  日周温度によるキクの茎伸長速度の変化は、内生活性型ジベレリン(GA)であるGA1の濃度によって制御される。このGA1の濃度変化は、GAのC-20酸化過程の一部であるGA44→GA19の代謝調節によることが示唆される。
キーワード 日周温度、キク、茎伸長速度、ジベレリン、GA1濃度、C-20酸化過程、GA44、GA19、代謝調節野菜・茶業試験場 生理生態部 生理機構解析研究室
背景・ねらい 日周温度、つまり、昼夜温度較差(DIF)や早朝降温(Morning drop)による茎伸長の制御については、新たな生育調節手段として実用化を目的とした多くの研究がなされている。しかし、その生理的メカニズムは分かっていない。本研究では、茎伸長に関与する植物ホルモンであるジベレリン(GA)の動態を調べることにより、日周温度による茎伸長制御の生理的メカニズムを解明しようとした。
成果の内容・特徴
  1. キク‘秀芳の力’に日周温度処理(低夜温/高昼温、高夜温/早朝降温)を行った結果、茎伸長は、低夜温/高昼温に比較して高夜温/早朝降温で顕著に抑制される(図1)。
  2. GA生合成阻害剤によって日周温度処理区間の内生GA濃度を揃えた場合、GA3投与による茎伸長量は、処理区間で同じである。したがって、日周温度による茎伸長の制御は、GAに対する茎組織の反応性の変化によるものではないと考えられる。
  3. ‘秀芳の力’の茎では、内生GAの生合成経路としてGA53からGA1に至る早期13位水酸化経路、ならびにGA15からGA9に至る早期非水酸化経路が存在する。このうち、早期13位水酸化経路が主体となって機能している(図2)。
  4. 茎伸長の抑制される高夜温/早朝降温では、低夜温/高昼温に比較して、GA19、GA20、GA1の濃度が顕著に低下する一方、GA44の濃度は増加する(図3)。したがって、高夜温/早朝降温は、図2におけるGA44からGA19への代謝、つまり、C-20酸化の一部を抑制することが示唆される。
  5. 以上から、日周温度によるキクの茎伸長の制御は、内生活性型GAであるGA1の濃度変化によって起こることが明らかである。このGA1の濃度変化は、GAのC-20酸化過程の一部であるGA44→GA19の代謝調節によることが示唆される。
成果の活用面・留意点
    本成果は、日周温度による茎伸長制御の生理的メカニズムの酵素・遺伝子レベルでの解明のための基礎資料として有用である。
図表1 227472-1.gif
図表2 227472-2.gif
図表3 227472-3.gif
カテゴリ 温度処理 きく

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