タイトル |
イチゴ実生の日長、温度処理による四季成り性個体の早期選抜法 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
沖村 誠
五十嵐勇
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発行年度 |
1996 |
要約 |
四季成り性実生個体は、光中断・中温条件下で頂花房の出現葉位が低く、頂花房出現葉位と四季成り性強弱との相関が高いので、頂花房の出現葉位を指標として四季成り性個体の早期選抜が可能である。
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キーワード |
四季成り性実生、頂花房出現葉位、四季成り性強弱、早期選抜野菜・茶業試験場 野菜育種部 夏秋野菜育種研究室
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背景・ねらい |
国内産イチゴの端境期解消のため、近年、寒・高冷地における夏秋どり作型への四季成り性品種の利用が注目されているが、その育種は遅れている。そこで、効率的に育種を推進するうえで不可欠な、四季成り性実生の早期選抜法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 3月播種の交雑実生を最低15℃・16時間日長条件下で生育させると、四季成り性実生は展開葉数25枚(播種後33週)前後までにすべて開花する。さらに、16時間日長に光中断(4時間の暗期中断)を組み合わせることで開花はさらに早まる(図1)。
- 16時間日長の昼夜恒温条件下では、四季成り性実生の開花は28℃で抑制され、18~23℃で同等に進むが、18℃では一季成り性実生も若干開花するので、早期開花させるための適温域は18℃よりやや高い20℃前後である(図2)。
- 四季成り性実生の開花の早晩は、長日(16時間)条件下では25/15℃(昼温/夜温)と20℃間で差がなく変温効果は認められないが、光中断条件で早まり日長の処理効果が大きい(図3)。
- 四季成り性が強い品種の自殖実生は、弱い品種のそれに比べ、頂花房の出現葉位が低く(表1)、また、実生での頂花房の出現葉位とランナー苗での四季成り性強弱(露地自然条件下での6月以降の再連続開花始日)との相関は高い(r= 0.651**)。すなわち、実生での頂花房の出現葉位が低いほどランナー苗での四季成り性は強く、四季成り性強弱に基づく選抜は実生段階で可能である。
- 以上の結果から、3月播種の場合、交雑実生を光中断・20℃前後の条件下で生育させると、10月定植までの育苗期間中に四季成り性個体を効率的に選抜することが可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 四季成り性イチゴ実生の早期選抜法として利用できる。
- 光中断・温度処理開始時の実生の大きさは展開葉数5~6枚以上の苗齢が望ましい。
- 交雑実生の組合せによっては光中断の効果が小さい場合がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
育苗
いちご
温度処理
栽培技術
茶
播種
品種
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