タイトル |
キャベツのビタミンU定量法の確立とその応用 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1995~1999 |
研究担当者 |
瀧川重信
石井現相
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発行年度 |
1997 |
要約 |
キャベツに含まれる抗胃潰瘍性成分であるビタミンUの定量法を確立し、これを用いて、ビタミンU含量の品種間差異及び部位別分布を明らかにした。
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キーワード |
キャベツ、ビタミンU、定量法、品種間差異、部位別分布
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背景・ねらい |
キャベツに含まれるビタミンU(塩化メチルメチオニン)は抗胃潰瘍性のある機能性成分である。このビタミンUの定量法を確立して、キャベツでの蓄積部位や品種間差異を明らかにすることで、キャベツの新しい品質指標となり得るか検討する。
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成果の内容・特徴 |
- ビタミンU(VU)は遊離アミノ酸としてOPA(オルトフタルアルデヒド)法によりHPLCで測定可能である。VUは熱及び高pHで非酵素的分解(ビタミンU→ホモセリン+ジメチルスルフィド)が促進され(第1表)、これまでのアミノ酸抽出法(熱抽出法)では分解されるので注意が必要である。VUは、キャベツをみじん切りにし、80%エタノールで室温(20℃)3時間放置すれば(第1図)抽出できる。VUは低pH域で安定しているため、抽出後pH2.2クエン酸緩衝液でサンプル調整する。
- ‘アーリーボール’、‘プラディーボール’、‘金系201’及び‘T612’のいずれの品種も、VUは生育後期に結球葉に蓄積してくる(第2表)。すなわち、結球キャベツの可食部位のうち、中肋を除いた結球葉での蓄積が高く、分析試料はこの部分を使用するのがよい。
- 貯蔵キャベツでは、結球の中心に近いほどVU含量が高く、低温貯蔵中(4℃)に増加する。貯蔵中のVU蓄積量は品種間差異があり、‘T612’では蓄積量が少なく‘金系201’では高い(第2図)。貯蔵キャベツあるいは短期間保存されたキャベツのVU測定は、中心部付近を試料とするのが望ましい。
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成果の活用面・留意点 |
- キャベツのビタミンU定量法として活用できるばかりでなく、他作物での適用も可能である。
- 今後多品種にわたるVU含量調査を行い、詳細な品種間差異を明らかにする必要がある。
- 貯蔵性とVU含量に何らかの関係があると考えられるため、VU含量の品種間差異測定の際には、試料の貯蔵・保存状況を明らかにしておく必要がある。
- VUは分解してジメチルスルフィド(多く存在すると悪臭となる)を生成するため、高VU含量品種を育成する場合は、VU分解の少ないものでなければならない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
機能性成分
キャベツ
品種
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