タイトル |
ガラクトース転移酵素遺伝子のクローニング |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
間藤正美
柴田道夫
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ケツルアズキの実生より、フラボノイドの3位にガラクトースを転移するUDP-ガラクトース:フラボノイド 3-O-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を単離した。これはガラクトース転移酵素遺伝子の植物における初めての単離例である。
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キーワード |
ケツルアズキ、UDP-ガラクトース:フラボノイド 3-O-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子、ガラクトース転移酵素遺伝子野菜・茶業試験場 花き部 育種法研究室
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背景・ねらい |
花きの育種において、新花色を有する品種の育成は重要な課題である。赤および青などの有色花弁内には高次配糖体化したフラボノイド色素が見られ、花色発現および色素の安定化にフラボノイドの配糖体化は重要と考えられている。そこで、これまでに植物においては単離されていないフラボノイドの3位にガラクトースを転移する酵素遺伝子のクローニングを試みた。
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成果の内容・特徴 |
- キンギョソウのUDP-グルコース:フラボノイド 3-O-グルコシルトランスフェラーゼ(UF3GT)をコードしているcDNAをプローブに用いて、この遺伝子とホモロジーが高いと考えられるUDP-ガラクトース:フラボノイド 3-O-ガラクトシルトランスフェラーゼ(UF3GaT)(図1)をコードしているcDNAをケツルアズキの実生よりクローニングした。
- 得られたcDNAから推定されるUF3GaTのアミノ酸配列は、これまでに報告されているキンギョソウ、リンドウ、オオムギおよびトウモロコシのUF3GTおよびペチュニアUDP-ラムノース:アントシアニジン 3-O-グルコシドラムノシルトランスフェラーゼ(RT)とホモロジーの高い領域が見られた。さらに、マウス、ラットおよびヒトの UDP-ガラクトース:セラミドガラクトシルトランスフェラーゼともホモロジーの高い領域が見られた(図2)。
- 大腸菌内で発現させたUF3GaTはケンフェロールおよびクェルセチンなどのフラボノールに対する基質特異性が高く、同じくフラボノイドに分類されるフラボン、フラバノンおよびジヒドロフラボノールでは低かった(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- フラボノイドの3-ガラクトシドを含まない植物体への本遺伝子の導入により新花色品種育成の可能性が考えられる。
- さまざまなフラボノイド配糖体化酵素をコードしている遺伝子間で、シーケンスおよび性質を比較することで、フラボノイド配糖体の多様化とその機能の解明が進められる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
大麦
茶
とうもろこし
品種
ペチュニア
りんどう
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