タイトル |
湿地性カラーに発生した株腐病(新称)とその防除薬剤(研究) |
担当機関 |
富山県農業技術センター |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
伊山幸秀
多賀由美子
築尾嘉章
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発行年度 |
1998 |
要約 |
富山県内で高温期に発生した湿地性カラーの病害はRhizoctonia solani によることが明らかとなった。本病は発病前~初期に株元に薬剤灌注することにより、病気の進展が抑制もしくは遅延される。
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キーワード |
高温期、湿地性カラー、Rhizoctonia solani、遅延、抑制富山県農業技術センター・野菜花き試験場・球根類病害指定試験
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背景・ねらい |
平成9年夏、カラー「ウエディングマーチ」の露地栽培圃場において葉柄が地際から倒伏する病害が発生し、問題となっている。県内ではカラーの露地栽培が拡大する傾向にあり、本病 害が全県的に確認されたことから病原菌を明らかにするとともに薬剤による防除対策を講ずる。
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成果の内容・特徴 |
- 6月下旬から7月に葉柄の地際部が水浸状に褐変しているのが観察される。葉柄は外側から順に株元で倒伏し、やがて株全体が黄化・枯死する(図1)。圃場では症状の激しい株を中心に坪状に発生する。根や塊茎は外観上健全である。
- 症状は軟腐病・疫病と類似するが、軟腐病は悪臭を伴い塊茎が軟化腐敗する点が、疫病は葉柄だけでなく根も激しく褐変する点が本病とは異なる。病斑部からはRhizoctonia
solani が分離される。 - PDA培地上における本菌の生育適温は28~30℃であり、5℃、35℃ではほとんど生育しない(図2)。菌糸融合群は第2群2型、培養型はⅢBに属している(データ略)。本菌によるカラーの病害はわが国では未記載であるため、病名を株腐病とすることを提案する。
- ペンシクロン水和剤、メプロニル水和剤、フルトラニル水和剤を株元に灌注することにより、発病を遅延させる効果が認められる(図3)。ポット試験における病原菌接種前処理では、上記薬剤に加え、トルクロホスメチル水和剤で防除効果が認められる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- カラーの病害診断と防除に役立つ。
- 本病は梅雨期に入る頃から夏期にかけて発生するので、排水の悪い圃場ではこの時期に株元の湿度を高く保持するような被覆資材(モミガラなど)は使用しない。また、かんがい水などをかけ流しにする栽培法を用いる場合は、夏期の水温が高くならないよう留意する。
- 防除効果が認められた薬剤は現在カラーに登録がないため、早期の登録が望まれる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
カラー
防除
薬剤
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