ナスの単為結果性の遺伝特性(研究)

タイトル ナスの単為結果性の遺伝特性(研究)
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1998~2004
研究担当者 吉田建実
佐藤隆徳
松永 啓
門馬信二
発行年度 1998
要約 欧州より導入したナスの果実が正常に肥大する単為結果性には、不完全優性の1遺伝子が関与する。国内品種にみられる「石ナス果」は、導入品種で発生がなく、着果促進に働く遺伝的特性と判断される。両タイプの遺伝子の集積により、安定した単為結果性品種の作出が期待できる。
キーワード ナス、単為結果性、不完全優性、着果促進野菜・茶業試験場 野菜育種部 ナス科育種研究室
背景・ねらい  ナスの施設栽培では、開花しても花粉の発達・飛散が悪いために、落花や果実が小さく硬い「石ナス果」が発生し易い。そこで、着果安定のためホルモン剤処理等が行われているが、多大の労力を要するため、着果促進処理を必要としない単為結果性品種の育成が求められている。育種素材として‘Talina’等を欧州より導入したが、単為結果性の遺伝が明らかでなく、単為結果率も高くなかった。このため、導入品種の単為結果性について遺伝解析を行うとともに、安定した単為結果性系統育成の可能性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 欧州から導入した‘Talina’の単為結果性半数体倍加系統‘Talina2/1’は果実肥大性に優れるが、着果率は低い(表1、図1)。‘千両2号’等の国内品種でみられる石ナス果は、欧州品種では発生がなく、肥大性は低いが着果促進に働く遺伝的特性と判断される。
  2. ‘Talina2/1’と‘なす中間母本農1号’の交雑後代系統について、開花前の除雄処理により判定した単為結果性は、優性の1遺伝子支配に適合する(表1)。
  3. ‘Talina’と同じ単為結果性遺伝子をヘテロに有する‘Mileda’、‘Diva’、‘Rondona’は‘Talina2/1’に比べ株当り着果数が半分以下であり、本遺伝子は不完全優性遺伝を示すと推察される(図1)。
  4. ‘Talina’と‘中生真黒’との交配組合せにおいて、‘Talina2/1’の約2倍の単為結実果をつけるF5世代系統が得られる(図1)。これは、単為結果性に関与する遺伝子の集積により、安定した単為結果性品種育成の可能性を示唆している。
成果の活用面・留意点
  1. 冬期の施設栽培でホルモン剤処理の要らない省力型単為結果性品種の育種に活用できる。
  2. 石ナス果の原因となる着果促進型の単為結果性に関与する遺伝子数は未解明である。
  3. 単為結果性遺伝子を集積した系統の低温・弱光等の不良環境下における生態的特性は未検討である。
図表1 227582-1.gif
図表2 227582-2.jpg
カテゴリ 育種 施設栽培 単為結果 なす 品種

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