タイトル |
キュウリ葉における炭疽病菌の感染により胚軸と根に誘導される病害抵抗性 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
我孫子和雄
窪田昌春
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発行年度 |
2000 |
要約 |
〔要約〕キュウリの子葉や第1葉に炭疽病菌を処理することにより、胚軸や根において複数の土壌病原菌種に対する抵抗性を誘導できる。
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キーワード |
炭疽病菌、胚軸、根、抵抗性野菜・茶業試験場 環境部 病害研究室
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背景・ねらい |
多種類の植物の葉において、壊死病斑を形成する病害により、その後の病原菌の感染に対する抵抗性が誘導される。これまで葉における誘導抵抗性に関する報告は多数あるが、胚軸や根における報告は少ない。葉に炭疽病菌を接種して抵抗性の誘導処理を行ったキュウリの胚軸や根において、複数種の病原菌に対する抵抗性の誘導を調査する。
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成果の内容・特徴 |
- 子葉に炭疽病菌{分生子懸濁液(107個/ml、10μl)}を10滴接種したキュウリでは、3日後以降に胚軸に接種した炭疽病菌による病斑形成が抑えられて抵抗性を示す(図1)。第1葉に20滴接種して7日後の植物においても抵抗性が認められる(データ略)。
- 子葉に炭疽病菌を10滴接種して5日後以降のキュウリの胚軸に、苗立ち枯れを起こすPythium ultimum菌叢を接触させる場合、病徴や発病率が抑えられて抵抗性を示す(図2)。胚軸に切り傷をつけた後にP. ultimum を接種する場合には抵抗性は認められない。
- 子葉に炭疽病菌を10滴接種して7日後のキュウリでは、ふすま・籾殻培地で培養した苗立枯病菌(Rhizoctonia solani )を1/500(w/w)の割合で混和した土壌に移植して接種する場合に病徴が軽減されて抵抗性が認められる(図3)。混和率1/200(w/w)での接種や菌叢を胚軸に接触させる場合には抵抗性は認められない。
- 子葉に炭疽病菌を10滴接種して7日後のキュウリの株元につる割病菌の分生子懸濁液(107個/ml、50ml)を灌注した場合、褐変する維管束の数が抑えられて抵抗性が認められる(表1)。株元に小板を突き刺して根に傷を付けた後につる割病菌を接種する場合には、抵抗性が認められない。
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成果の活用面・留意点 |
- 葉における処理により土壌病害に対する抵抗性を誘導できることが示された。
- 実用のためには、同様の抵抗性誘導効果が認められる物質や病原菌以外の生物資材の開発が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
きゅうり
立枯病
炭疽病
茶
抵抗性
病害抵抗性
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