タイトル |
作業用ダム洪水吐の放流管理省力化に対応した越流頂形状(円弧越流頂)の開発 |
担当機関 |
農業工学研究所 |
研究期間 |
1994~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
放流能力に優れ、かつ放流能力の調整が容易な越流頂形状として円弧越流頂を開発した。この形状は簡易形状なので施行性も良い。放流管理の安全性確保、省力化から多用される自由越流式洪水吐に適しており、また洪水調節計画との整合性確保にも有効である。
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背景・ねらい |
農業用ダムの管理については現在、次のような問題がある。1)県、土地改良区等、財政基盤が脆弱な組織に管理委託される場合が多く、維持管理コストがかけられない。2)ダム本体は山間部にあり管理人員確保が困難である。3)ダム適地の不足から集水域が狭小化し洪水出水が早くなっている。このため、ダム放流管理における安全性、確実性向上への要求が強まっている。4)流域開発の進展に伴い、農業用ダムに関しても洪水調節機能を付帯させる計画が増えている。したがって、ダム放流管理において洪水調節計画との整合が要求される。以上のように近年、農業用ダムの管理(特に洪水時の管理)においては、省力化、低コスト化、安全性・確実性の向上、洪水調節計画との整合、等の課題がある。前3者からダム放流施設(洪水吐(洪水調節施設も含む))はノンゲートの自由越流式で計画される事が多い。自由越流式では越流頂長が長大化するので、その越流頂形状には施工性、放流能力に優れたものが望ましい。放流能力の向上は、洪水時(特に洪水調節計画の想定を越える異常出水時)の安全性向上の点からも望まれる。また、洪水調節計画との整合のため、放流能力(流量係数)の調整が容易な事も必要である。本研究ではこのような条件を満たす越流頂形状を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 円弧越流頂(図-1)の開発
- 円弧越流頂の諸特性の解明 水理実験により円弧越流頂の諸特性を解明し、その流量係数式を呈示した。
1) 放流能力(図-2):従来形状(二次放物線型越流頂、図-1参照)では、設計条件に対し放流能力が一意に固定されてしまうので洪水調節計画との整合に難があった。これに対し、円弧越流頂は放流能力を様々に変化させることができる。この際、放流能力の調整は、越流頂部の水平床長、もしくは下流円弧径を変えるだけの簡便な形状変更で行える。また、放流能力自体も全般に従来形状(二次放物線型越流頂)より大きくなっている。 2) 施工性(図-3):円弧越流頂は、その放流能力に関わらず曲面施工長を従来形状(二次放物線型越流頂)より大幅に短縮できる。よって、施工コストの低減に有効である。 3) その他の諸特性(構造安定性、表面圧力、越流水面形)の解明
- 上記の成果に基づき円弧越流頂の水理設計法を呈示した。
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成果の活用面・留意点 |
本成果は国、県営の農業用ダムに適用できる。また、施工が容易な形状なので、ため池等、小規模水源施設の洪水吐にも有効である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
コスト
省力化
低コスト
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