比抵抗法による深部電気探査システムの開発とその適用性

タイトル 比抵抗法による深部電気探査システムの開発とその適用性
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約 火山地域における土砂災害を予測するため比抵抗法による深部電気探査システムを開発した。試験地を磐梯山に設定し、開発したシステムの現地への適用性の検討を行った結果、見かけ深度2,000mまでの堆積構造の解明が可能であることが明らかとなり、その有効性が確認できた。
背景・ねらい 火山地域にも、多くの農業用基幹施設が建設されている。しかしながら、火山地域は噴火による直接的危険性に加えて、地形的不安定性のため大規模な土砂災害の危険性が高い。したがって、その予測手法の開発が強く望まれている。電気探査比抵抗は、地下の比抵抗分布から岩質の区分が可能とされている。
成果の内容・特徴
  1. 見かけ深度2,000m程度まで測定可能な高精度高出力電気探査システムを開発した。送信器は送信電流最大20Aであり、電圧は最大800Vである。受信器は波形モニター付きで10μVまでの測定が可能である。
  2. 本研究で開発した測定システムの現地への適用性を検討するために、試験地として磐梯山を選定し、南北4,800mのI測線と東西4,900mのII測線とを設定して、測定間隔100mで実験を行った。
    図-1はI測線における見かけ比抵抗曲線断面図である。10Ωm以下の抵比抵抗帯が、北斜面の測点2,000m付近で比較的浅い箇所に分布している。また、北斜面では100Ωm以下の見かけ比抵抗値が地表付近まで分布しており、火山噴出物および崖錐と推定される。ここでは大規模な岩屑流が発生している。一方、南斜面の測点2,750mの噴気孔付近にも10Ωm以下の低比抵抗帯が浅い箇所に分布している。これらの箇所は、温度が高いか、あるいは変質帯と推定される。さらに、10Ωm以下の低比抵抗帯は火口と考えられている沼の平付近の深部にも広く分布していることが明らかとなった。測点4,100から4,800m付近には、300Ωm以上の見かけ比抵抗値が分布しており、亀裂の少ない岩であると推定される。ここでは岩屑流は発生していない。
  3. 図-2はII測線における見かけ比抵抗断面図である。変質帯あるいは高温部と考えられる10Ωm以下の低比抵抗帯が西側斜面の中の湯付近で地表近くまで分布しているとともに、東側斜面の沼の平北端でも低比抵抗帯が地表付近まで分布していることが明らかとなった。特に中の湯付近では、10Ωm以下の低比抵抗帯が山体の深部から地表付近まで連続しているため、山体深部の状態の変化が直接現れる可能性がある。測点0から2,000m付近にかけての東斜面には、100Ωm以下の火山噴出物が厚く堆積していると考えられる。測点2,000から3,000mの山頂付近および測点4,100から4,900mの西斜面には、亀裂の少ない岩が分布していると考えられる。
成果の活用面・留意点 本調査法は火山地域に適用できるばかりでなく、地すべり地域にも適用が可能である。今後それらについての適用事例を蓄積することが必要である。また、電極を固定するとともに測定器を自動化して、地下に生じる変化を電気的変化として観測するための比抵抗モニター法を開発することにより、地すべり対策の効果判定法およびマグマの変動予測法として利用することも可能である。
一方、本調査法と放射能探査法を併用することにより、岩盤中の地下水調査および農業用熱水調査にも活用できる。
図表1 227706-1.gif
図表2 227706-2.gif
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