地下レーダによる不均一な透水構造の調査・解析法

タイトル 地下レーダによる不均一な透水構造の調査・解析法
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 浅層地下水の移流を支配する不均一な透水構造を解明する地下レーダ探査システムを開発した。現地実証試験を行った結果、地表下約10cmから3m程度までの透水構造の解明が可能であり、その有効性が確認できた。
背景・ねらい 農業地域の浅層地下水の汚染を防止するには、汚染物質が溶解している浅層地下水の移流を支配する不均一な透水構造を非破壊で解明する必要がある。本研究では非破壊探査法の中でも作業性に優れ、連続的な地下情報が得られる特徴を持つ地下レーダ法に着目し、特に地表下1m以浅の解析精度向上を目的とした探査システムを構築した。
成果の内容・特徴 ①中心周波数2GHzの高精度地下レーダアンテナを開発した。システムの概要を図-1に示す。モデル地層を作成し、性能試験を行ったところ地表下40cm程度に分布する厚さ5cm程度までの粘土層を検出できることが明らかになった。
②開発器と現有の中心周波数167MHzのアンテナ(探査深度3m程度まで)と組み合わせた高精度地下レーダ探査システムの現地への適用性を検討するために、茨城県つくば市内の洪積台地縁斜面の樹園地を試験地とし、4測線のベ190mの探査を行った。2GHzのアンテナでは垂直往復走尭時0~30nsec(10-9sec)の範囲、167MHzのアンテナでは20~90nsecの間で有意な反射がとらえられており、従来解析できなかった約50cm以浅の解析が可能となった。浅部探査では反射走時が小さいため、地表の凹凸の影響を受けないよう走行路を平滑に保ち、2GHzアンテナは地面に密着させた。
③図-2は2種類のアンテナによる画像処理結果とトレンチ調査による地質柱状図から推定した地質断面パネルダイヤグラムである。細砂層を基盤としてやや固結した砂層を挟んで全体的に0.5~1m厚のローム層が分布する。トレンチ調査により斜面上部では粘土層、斜面下部では礫層の狭在が確認されたが、レーダによりその分布状況状が解析できた。2GHzのアンテナではローム層について、特に斜面下半部で礫混じりロームとなっていることが解析できた。
④図-3はC測線P点付近の2GHzによる画像処理結果である。画像では暖色はど強い反射、寒色ほど弱い反射を示している。垂直往復走時3nsec付近に強い反射面A、6nsec付近に弱い反射面Bが認められる。P点において白色水性塗料(10倍希釈)を約10cc/cm2の割合で散布した後、土壌断面を検討したところ、図一4のような浸透状況の違いを確認した。反射面AはⅠ層とⅡ層の境界面に直接波信号が重なったもの、反射面BはⅡ層とⅢ層の境界を検知したものと考えられ、透水性の異なる地層の境界を非破壊で解析することができた。
成果の活用面・留意点 本成果により地表下約10cm~3mの範囲の不均一な透水構造が明らかになり、浅層地下水の移流メカニズムを解明し、農業地域の地下水汚染を未然に防止する上での基礎資料となる。透水構造のそれぞれの単元の透水性の評価については、要所でオーガー等により地質を確認するとともに、トレーサー試験等を行う必要がある。
図表1 227723-1.gif
図表2 227723-2.gif
図表3 227723-3.gif
図表4 227723-4.gif
カテゴリ 画像処理

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