ラドン濃度を指標とした石灰岩中の空洞水の判別法

タイトル ラドン濃度を指標とした石灰岩中の空洞水の判別法
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1992~1996
研究担当者 今泉眞之(現
竹村武士
濱田浩正
企連
国研セ)
小前隆美(現
発行年度 1996
要約 地下水に含まれた環境同位体のラドン濃度を測定することにより、地下ダムの設計や管理で重要となる石灰岩中に発達した空洞を流動する地下水が判別でき、空洞の規模が推定できることを立証した。
背景・ねらい  
琉球石灰岩地域では、海に無効放流される地下水を地中壁で堰上げて、多孔質の石灰岩中に貯留する地下ダムが建設されている。石灰岩中には溶喰によって空洞が発達しており、それは、地下水の集水チャネルや貯留空間として地下ダムの重要な役割を果たしているが、反面、地下壁の築造に対して施工が困難な条件となっている。このため、地下ダムの設計や管理に、井戸水や湧水を調査することでそれが空洞経由の地下水であるかどうを判別する技術が求められていた。ここでは、地下水のラドンの濃度を指標とした判別法を提示し、現地調査によってその有効性を立証した。
成果の内容・特徴
  1. 空洞水の出現によるラドン濃度変化モデルの提示:
     地下水中のラドン濃度が約3週間で放射平衡濃度に到達し、ラドンの供給を絶たれると半減期約3.8で濃度低下することから、空洞水は周辺の地下水に比較してラドン濃度が低くなると推定される。この現象に基づき、石灰岩中の空洞水を判別するモデルを提示した(図1)。
     Aで流入した地下水はラドン濃度を高めながら流動し、放射平衡に到達する。C地点に向かう地下水は放射平衡濃度を維持するが、D点から空洞に流入し空洞出口のEに向かう地下水は、急激に濃度が低下するというモデルである。
  2. 現地実験による有効性の検証:
     天然の地下ダム構造をもつ宮古島の白川田流域において、3本のボーリング孔を設け、深度5mごとに採水してラドン濃度を測定した(図2)。結果(図3)は、上流域から湧水に向かって配置し、縦軸は地表からの深度をとっている。提示の判別モデルを適用すると、B2の15~20mと浅部湧水が空洞水の特徴を持ち、B2の20~25mと深部湧水にもその傾向が認められた。
     空洞流入前の濃度を周辺の地下水の測定値から26Bq/lとし、空洞中ではラドンが供給されなかったと仮定すると、空洞中の流動時間は、前者で約4日、後者で1.5日と試算され、大規模な空洞の存在が想定された。
     揚水試験による流速変化も空洞性地下水で著しく、石灰岩中に含まれる空洞水の判別に提示モデルが有効であることが実証された。
成果の活用面・留意点 この判別法は、すでに他の調査地区に応用されている。ラドンの測定に液体シンチレーンョンアナライザが必要となる。
図表1 227742-1.gif
図表2 227742-2.gif
図表3 227742-3.gif
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