集落排水処理施設整備による住民意識変化

タイトル 集落排水処理施設整備による住民意識変化
担当機関 水工部
研究期間 1998~2000
研究担当者 山本徳司
端 憲二
木俣 勲
発行年度 2000
要約 集落排水事業実施前後における住民意識の多面的な特徴を、TN法(東北農試法)及びDEMATEL法で分析し、実施前では多様な項目にわたって期待が込められるのに対し、実施後では定住条件の改善効果項目に認識が収れんすることが明らかになった。
背景・ねらい 集落排水事業を推進し、しかも整備された施設を良好に管理してゆくためには、地域住民自身が積極的に施設を活用していこうとする意欲を引き出す説得力のある事業の展開が不可欠である。このため、条件不利地域である中山間地域に注目し、具体的に選定した調査対象地区である会津田島町田部集落において調査を行った。ここで、事業実施前・後にTN法及びDEMATEL法により、住民の事業に対する意識を検討し、分析結果を比較することにより、住民の意識の変化を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. TN法を用いて抽出した住民の意見を集約して表1に示した。さらに、これらの項目のうちDEMATEL法により明らかになった主要な項目について、項目間の相互関係を図1、2に示した。
  2. 表1のうち主要な項目として事業実施前では水質の改善(農業生産効果)、生活環境改善効果、家庭生活の改善(定住条件の改善効果)、水環保全・改善効果、精神的効果のうち清潔感の向上、衛生改善の意識の向上、快適性に向上等全般にわたって期待項目が挙げられたのに対して、事業実施後では生活環境改善効果、定住条件の改善効果、精神的効果のうち清潔感と美意識の向上、清潔感の意識向上、衛生環境整備に役立つが効果項目として挙げられた。この結果事業実施前では全項目にわたって期待が込められたのに対し、事業実施後では定住条件の改善効果項目に認識が収れんしてきたことが明らかになった。
  3. 図1、2から事業実施前後の期待項目間および効果項目間の関係を比較すると、施設整備への期待は「衛生環境の改善」「衛生改善の意識の向上」を中心にした生活環境や自然環境の改善であるのに対し、施設整備後の効果は「臭気がなくなる」を中心に、社会性を認識した定住条件の改善効果を強く意識したことが明らかになった。
  4. 属性別の関心の度合いを比較すると事業実施前では女性層、、比較的若い年齢層、非農家層の関心が強かった。事業実施後は、男性層、比較的高年齢層の評価が高くなっている。このことは管理業務の重要性を認識している層に比較して単純に、水洗化の恩恵を受けた層で評価が高くなったことを示している。つまり、創造的期待から管理・運用を含む現実的な効果に住民意識が変化したことが明らかになった。
成果の活用面・留意点 条件不利地域である中山間地域に注目して事業実施前・後にTN法及びDEMATEL法により、住民の事業に対する意識を検討し、分析結果を比較することにより、住民の意識の変化を明らかにした。この結果は、今後の事業の望ましい展開に資すると考える。
図表1 227833-1.gif
図表2 227833-2.gif
カテゴリ 中山間地域

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