農業用ダム流域からの流出土砂量の簡易予測手法

タイトル 農業用ダム流域からの流出土砂量の簡易予測手法
担当機関 農業工学研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者 桐 博英
樽屋啓之
中矢哲郎
藤井秀人
発行年度 2000
要約 農業用ダム流域からの流出土砂量を予測する手法を提案した。本手法により、流域面積、気候区分および地質区分から、流域面積が100km2程度までの比較的小さな流域から流出する土砂量を簡易に予測できる。
背景・ねらい 農業用ダム貯水池への土砂流入は、貯水容量を減少させ、結果としてダムの寿命を短くさせる。このため、流域からの土砂流出を規定する要因を明らかにし、流出土砂量を予測することは、農業用ダムの維持・管理上、重要である。
一方、発電用のダムでは流域全体から流出する土砂量の予測式が作られているが、農業用ダム流域は、発電用ダムなど他目的のダム流域と比較して流域面積が小さいという特徴があり(図1)、従来の予測式をそのまま適用するには問題がある。このため、農業用ダム流域全体から流出する土砂量を簡易に予測する手法を提案した。
成果の内容・特徴
    全国66箇所の農業用ダムの管理者に対して行った、堆砂に関するアンケート調査の結果を分析し、農業用ダム流域全体から流出する土砂量を規定する要因を検討した。
  1. 農業用ダム流域を気候区分(関口武の気候区分図による)と地質区分で表1のように分類し、流出土砂量q'sと流域からの平均年流出水量 I(以下、「流出水量」)の関係を明らかにした(図2)。
  2. 図2の結果をもとに、流出水量から流出土砂量を予測する式(1)を提案し、農業用ダム貯水池の堆砂量データから算出した係数βを整理した(表1)。
    q's=10βI -0.69 [m3/km2/year](1)
  3. 流出水量データを入手できない場合を想定して、流出水量と流域面積F [km2]の関係式(2)をもとに、流域面積から流出土砂量を予測する式を導くと式(3)のようになる。
    I=0.8202F 1.1055×106 [m3/year]   (2)
    q's=8.306×10(β-5) F -0.763 [m3/km2/year](3)
    4.式(3)で予測した流出土砂量を、農業用ダム貯水池の堆砂量データから求めた流出土砂量と比較すると図3のようになった。
成果の活用面・留意点
  1. 気候、地質区分の中にはサンプル数が少ないものが多いため、更なるデータ収集により係数の修正を行い、予測精度の改善を図っていく必要がある。
  2. 本予測式は、流域面積が100km2程度までの、比較的小さな流域に適用が可能である。
図表1 227858-1.gif
図表2 227858-2.gif
図表3 227858-3.gif
図表4 227858-4.gif
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