水理模型実験と数値計算による潜堤の持つ消波効果の解明

タイトル 水理模型実験と数値計算による潜堤の持つ消波効果の解明
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 1998~2001
研究担当者 桐 博英
丹治肇
中矢哲郎
藤井秀人
発行年度 2001
要約 潜堤の持つ消波効果について、透過波高と入射波高の比から求める消波率と波形勾配、堤高比、との関係を水理模型実験結果から整理し、消波に必要な条件を明らかにした。数値計算では砕波前後の波形、砕波形態、砕波位置を良く再現できることがわかった。
背景・ねらい
海岸侵食防止工法として、これまで離岸堤や突堤が多数設置されてきたが、潜堤は天端が海面下にあるため景観上の問題がなく、稚魚の生育場にもなり、生態系に優しい海岸保全構造物として施工される数が増加している。また、その背後を人工養浜とすることにより海浜の有効利用が期待できる。潜堤に求められる水理機能としては、強制的に砕波させることによって高波浪を減勢させることであり、実験的、解析的にこの水理機能を検討する必要がある。
本研究では水理模型実験により不透過型潜堤の砕波の有無、消波効果を明らかにし、数値計算により潜堤近傍流れを再現することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1.  表1に通過波の砕波の状態、消波率の一覧を示す。波形勾配が大きいほど砕波しやすく、0.04以上では全て完全砕波することがわかった。砕波した場合は堤高比が0.5より大きい場合は40%以上の高い消波率を示した。写真1に砕波したときの様子を示す。
  2.  堤高比と消波率の関係は、堤高比が低くなるほど消波率は減少し、水深の半分の場合は砕波しても消波率は40%以下である。
  3.  図2には表1のCase1における模型実験と数値計算の潜堤近傍における波形の変化を比較して示す。数値計算は自由表面を有する流れの計算にVOF法を採用した、汎用流体解析システムFUJI-RIC/α-FLOWの自由表面解析モジュールを用いて行った。数値計算では波が潜堤法面を遡上し終える位置で立ち上がり、天端中央で砕波している。模型実験も同様の傾向であり、砕波前の波形、砕波形態、砕波位置も数値計算結果と良く一致する。消波率に関しては数値計算が54%、実験が5 1%であり消波効果の算定に関しても再現性が高い。

成果の活用面・留意点 数値計算に関しては今後ケース数を増やし、精度に関する詳細な検証を行う予定である。農地海岸における侵食防止工としての潜堤の消波効果に関する参考資料として本成果の活用が期待できる。
図表1 227892-4.gif
図表2 227892-5.jpg
図表3 227892-6.gif
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