7.農道整備事業によるアクセス改善がもたらす生活利便性向上効果の評価法

タイトル 7.農道整備事業によるアクセス改善がもたらす生活利便性向上効果の評価法
研究期間 2001~2002
研究担当者 遠藤和子
合崎英男
三橋初仁
蘭嘉宜
発行年度 2002
要約 農道整備事業によるアクセス改善がもたらす生活利便性向上効果は、ヘドニック法により定量的に評価することができる。この方法によって、生活利便性向上効果を、オプション価値も含めて、生活交通量を使わずに算定できる。
背景・ねらい 農道整備事業の多面的効果の一つに、農村の生活利便性向上効果がある。生活利便性向上効果を算定するためには、将来の生活交通量をその他の経済活動等の交通量と分けて予測する必要があるが、そのためには多くの作業が必要である。また、生活利便性向上効果には、生活関連施設を利用する際の効果(利用価値)と、いつでも利用したい時に利用できるという満足感の向上効果(オプション価値)があるが、後者は交通量を使った手法では算定できない。ヘドニック法によれば、これらの課題を解決できる。
成果の内容・特徴 日常的生活圏(市町村内)と広域的生活圏の各中心市街地までのアクセス(車による所要時間)を生活利便性の指標とし、農道整備事業によるアクセス改善がもたらす効果を生活利便性改善効果としてヘドニック法により評価する。

1)
対象とする事業により生活利便性向上効果が生じる住宅地の範囲を求める。事例として、広域農道整備事業那珂地区(バードライン)によりアクセスが改善される区域の一部、平野台団地で試算した(図1)。

2)
通勤・通学・買物等に関する行動調査資料をもとに、その住宅区域を含む広域生活圏を設定する。事例では、平野台団地がある瓜連町を始め、国勢調査で水戸市への通勤・通学者が20%以上の市町村(那珂町、茨城町、大洗町、瓜連町、常北町、内原町、友部町、桂村)に、水戸市に隣接し関係が深いひたちなか市を加えた。

3)
広域生活圏内の住宅地の地価公示データ、都道府県地価調査データを収集し、各地点について、日常的生活圏の中心市街地への車による所要時間、広域的生活圏の中心市街地への車よる所要時間、その他、地価への影響が想定されるデータを整理する。事例では、地価公示データ・都道府県地価調査データの主な調査項目に、車・鉄道による所要時間、市町村の属性を加えて、説明変数の候補とした(表1)。分析に使った108地点について、車による所要時間別の地点数を表2に示す。

4)
重回帰分析により地価関数を求める。事例では、表1の説明変数の中から有意な変数の組み合わせとして表3に示す結果を得た。

5)
単位時間当たりの評価額に、事業の有無による所要時間の差と住宅地面積を掛けて、生活利便性向上効果を求める。事例では、広域農道の有無により、平野台団地から水戸中心市街地までの所要時間に3分の差が見込まれ、その効果は、表3より988円/分/m2×3分×26.7ha=791百万円と推定できた。
成果の活用面・留意点
1)
地価関数は分析する広域的生活圏により異なるため、個別に算定する必要がある。

2)
地価公示データ、都道府県地価調査データは信頼性が高く、入手も容易であるが、町村部には調査個所数が少ないところがある。

カテゴリ 評価法

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