16.繰り返し連続水分検層,ラドン濃度測定による地下水人工かん養効果の判定

タイトル 16.繰り返し連続水分検層,ラドン濃度測定による地下水人工かん養効果の判定
研究期間 2000~2002
研究担当者 今泉眞之
石田聡
土原健雄
発行年度 2002
要約 新開発の自動巻き上げ器を使用した中性子水分計による不飽和帯の体積含水率の連続繰り返し測定法(自動巻き上げ水分検層法),地下水面付近における地下水の定期的ラドン濃度測定法(地下水面ラドン法),によって地下水位変化やトレーサー法では不可能であった不飽和帯の水の浸透状況を追跡出来,地下水人工かん養効果を判定出来る。農業工学研究所・地域資源部・地下水資源研究室
背景・ねらい  近年、水資源の強化、農業の持つ多面的機能の維持等を目的に、地下水を人工的にかん養し地下水資源を強化する事例が増加している。かん養効果の判定は、かん養施設における浸透量および施設周辺の地下水位変化,蛍光染料等のトレーサーの到達により行われることが一般的であるが、かん養強度等の条件によっては地下水位の変化が小さく、かん養効果の判定が困難なケースも多い。また,地下水位変化やトレーサー法は,かん養水が地下水面に達した事は確認できるが,不飽和帯の水移動過程の情報は得られない欠点があった。このため、これらの手法を補う新しいかん養効果の判定手法(自動巻き上げ水分検層法と地下水面ラドン法)を開発し,砂礫層(地下水位の深度約11m)を対象とした試験地(図1)において実証試験を行い,有効性を確認した。
成果の内容・特徴
  1.  地下水位変化法ではかん養開始後5時間後に地下水位が上昇し,トレーサー法では4.5時間後から濃度が上昇し,9.5時間後にピークに達した。

  2.  1時間毎の体積含水率プロファイルが測定できるように水分検層計の巻き上げ速度を秒速1cmの低速で動作できる自動巻き上げ器とデータ収集ソフトを開発し,連続的にデータを収集した。不飽和帯の水移動は,体積含水率が増加する部分の深度が,時間と共に下方に移動し,5~7時間後に体積含水率の増加が地下水面付近まで及ぶとそれ以後は変化しなくなる様子が把握できた(図2)。

  3.  かん養水(河川水)と地下水のラドン濃度が異なる事を利用して、かん養水の到達状況をモニタリングするため、試験中の地下水面付近のラドン濃度を1時間毎に測定した。その結果かん養開始5時間後からラドン濃度の低下が観測され、8時間後に最低濃度になった。ラドン濃度変化が地下水位の変化と調和的であることから、ラドン濃度は不飽和水の押し出し,かん養水の地下水面への到達の指標となる(図3)。

成果の活用面・留意点  これらの手法を併用する事によって,かん養効果をより的確に把握することが出来る。また地下水面ラドン法は,かん養水が不飽和帯から地下水面に排水されるため,地下水面付近の地下水を攪乱しないように採水する必要がある。

カテゴリ モニタリング

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