タイトル |
24.造成地から発生する伐採木の活用のための炭化 |
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研究期間 |
1999~2002 |
研究担当者 |
山岡 賢
凌 祥之
齋藤孝則
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発行年度 |
2002 |
要約 |
造成工事で発生する伐採木は、800℃の炭化によって炭化前重量の25%程度に減量できる。炭化物の分析結果から、主成分である炭素の含有量やpH,最大容水量などの特性が解明され、土壌改良用木炭の代替が有力であることが明らかとなる。農業工学研究所・農地整備部・畑整備研究室
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背景・ねらい |
大規模な造成工事で発生する多量の伐採木は、野外焼却の禁止および資源の有効利用の促進から、産業廃棄物としての適切な処理方法および有効な再利用技術の開発が必要になっている。木炭は樹種および炭化温度などによって性質が異なり、土壌改良や水質浄化等にも利用されており、炭化はこれらの有効な一つの再利用技術と考えられる。しかし、造成地から発生する伐採木には根株や枝葉も含まれ、これらを炭化したものの特性は明らかにされておらず、伐採木から生成した炭の特性を明らかにし木炭の代替が可能か検討した。
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成果の内容・特徴 |
- ダム造成地の伐採木(3種類の広葉樹枝部、伐採木チップ、杉根株)から生成した炭の成分組成を分析した結果、成分の多くを占める炭素(T-C)は木炭と同程度であり、無機成分は木炭と比較して多少の違いがあった(表1)。
- 伐採木から生成した炭の特性値を表2に示す。
1)木炭の場合、炭化温度が高い方がpHが高くなり、低い炭化温度(400℃)で微酸性、高い炭化温度(600℃以上)でアルカリ性を示すことが知られており、伐採木から生成した炭も同様に低温でpH6.3、高温でpH8.5~9.4を示した。伐採木チップから生成した炭の土壌混入試験(1,2,5,10%重量)では、pH6.6の関東ローム土壌のpHの変化は確認されなかった(図1)。2)伐採木から生成した炭の最大容水量は木炭と同等以上であった。
- 伐採木から生成した炭の組成および特性は木炭と同等であり、従来廃棄または焼却処理されていた造成地の伐採木を炭化することにより、土壌改良などの建設資材用木炭の代替品としての利用が有力であることが明らかになった。
- 炭化前後の試料重量から求めた減量率は、炭化温度800℃の場合71.8~76.8%であり、炭化により重量は1/4程度になり、木炭並の減量効果が確認された(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及のために今後、現地発生土壌に混入した場合の土壌化学性,物理性の改善効果および作物生産への影響・効果を確認する必要がある。
- 産業廃棄物として処理した場合および他の再資源化による場合とのコストの比較が必要である。
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カテゴリ |
コスト
土壌改良
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