2.画像を利用した環境点検手法の開発と農村地域の子どもの環境認識特性

タイトル 2.画像を利用した環境点検手法の開発と農村地域の子どもの環境認識特性
研究期間 2001~2003
研究担当者 山田伊澄
山本徳司
発行年度 2003
要約  子どもも簡単にできる、画像を利用した環境点検手法を開発し、農村地域の子どもの環境認識について明らかにした。自然を強く認識し、行動に基づいた認識をする子どもの視点は、大人だけでは得られない視点を有しており地域づくりに活用できる。
背景・ねらい  近年、住民参加による地域づくりが活発に行われる中、地域づくりへの子どもの参画が模索されつつある。しかしながら、子どもと大人の視点の違いは必ずしも明確ではなく、子どもの空間的な環境認識についての研究は多くない。そこで、子どもにも簡単にできる、画像を利用した環境点検手法を開発・適用し、農村地域の子どもの環境認識特性を大人との比較により明らかにした。
成果の内容・特徴
  1.  従来の環境点検法を応用し、子どもの空間的な環境認識を分析できる環境点検手法を開発した。手法の実施手順は図1の通りである。本手法を適用し、山口県柳井市I地区の小学5・6年生と大人を対象に調査を行った結果、以下のことが明らかとなった。
  2.  大人と子どもに共通する環境認識は、田畑や山が好きな点、道や水辺が嫌いな点である(表1・表2)。大人も子どもも、田畑や山を地域のアイデンティティーに関わる重要な環境と認識する一方、道や水辺を地域にとっての問題点と認識している。
  3.  その反面、大人と子どもで環境認識が異なる点もある。大人が歴史物を含め社会環境を強く認識するのに対し、子どもは近づいて遊べる自然環境を強く認識する傾向がある。また、大人が環境を遠景として認識するのに対し、子どもは近接景として認識する傾向がある(図2・図3)。さらに、大人と違って子どもは、山や水辺を好きでも嫌いでもある対象としているように、同じ対象でも評価が一様でなく、価値評価は対象自体よりもその状態に応じて異なる。子どもの評価を分ける主な要因は、きれいさや楽しさや明るさ等であり(図4)、自然を保ちつつ管理することの重要性を示唆している。
  4.  子どもと大人が共通的な環境認識を持つと同時に異なる環境認識をも持っていることは、子どもの地域づくりへの参画の可能性と、子どもが地域資源の再発見や新たな活用法を提示しうることを意味している。

成果の活用面・留意点
  1.  本手法を適用することにより、子どもの視点を活かした地域づくりや自然環境の管理・保全が可能である。
  2.  子どもの環境認識は自宅や通学路の周辺に偏りがちであるため、地域づくりへの子どもの参画を進める上では、今後子どもが地域について認識を深める機会を設けることが肝要である。





図表1 227950-1.gif
図表2 227950-2.gif
図表3 227950-3.gif
図表4 227950-4.jpg
図表5 227950-5.jpg
カテゴリ もも

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