22.中性子水分計による、地すべり地の排水トンネルの地下水排除効果判定手法

タイトル 22.中性子水分計による、地すべり地の排水トンネルの地下水排除効果判定手法
研究期間 1999~2003
研究担当者 今泉眞之
石田 聡
土原健雄
発行年度 2003
要約  地すべり地の排水トンネル内の観測孔を利用して、中性子水分計で含水比の鉛直分布を定期的に計測し、排水トンネル周辺地山の含水比及びすべり面の間隙水圧の低下を観測する。この手法によって排水トンネル内の地下水排除効果を判定できる。
背景・ねらい  中山間地の地すべり防止工事として施工される地下水排除工は観測井の地下水の低下によって効果を判定している。しかし、地下水の流動形態は地山の地質構造によって複雑に変化するため、すべり面の間隙水圧を正確に把握できる地下水観測井の設置が困難な場合が多い。特にすべり面が深い場合が問題である。このため、地下水排除工の効果として、地山の含水比を中性子水分計で直接測定する方法を開発して、新たな効果判定手法として提案した。そして、新潟県の新第三紀泥岩地すべり地に本調査手法を使用して、有効性の検証を行った。
成果の内容・特徴
  1.  地すべり地内の新第三紀泥岩斜面に掘削された排水トンネルにおいて、検層用の観測孔を設置し(図1)、挿入型中性子水分計(図2)を用いてトンネル周辺地山の含水比を定期的に測定し、含水比の経時変化を観測した。
  2.  観測の結果、含水比は観測開始から数ヶ月間減少し、その後は大きな変動を示さなかった(図4)。また含水比から換算したすべり面の間隙水圧も当初は完全軟化状態での間隙水圧を超えていたが、数ヶ月間で減少し、その後は大きな変動を示さなかった(図3)。この結果は、観測孔施工後排水トンネルの効果により地山の水分が排出され、一定期間後に水分の排出が定常状態に達して安定した事を示している。
  3.  このように中性子水分計を用いた観測によって、排水トンネルの効果がトンネル周辺地山の含水比の経時変化として把握でき、本手法を排水トンネルの地下水排除効果判定に利用することができる。

成果の活用面・留意点
 排水トンネルに代表される地下水排除工の評価手法として、本手法は有効である。なお、間隙水圧は含水比から算出した推定値である。



図表1 227970-1.gif
図表2 227970-2.gif
図表3 227970-3.gif
図表4 227970-4.gif
カテゴリ 中山間地域

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