31.強風被害にみる園芸施設構造の被災特徴と改善策

タイトル 31.強風被害にみる園芸施設構造の被災特徴と改善策
研究期間 2002~2004
研究担当者 佐瀬勘紀
小綿寿志
森山英樹
石井雅久
発行年度 2003
要約  強風により被災した園芸施設の現地調査結果をもとに、園芸施設構造の骨組構造解析および構造要部の強度計算を行った。既存の園芸施設における骨組接合部および基礎に関する被災特徴を明らかにし、強風対策技術を提案した。
背景・ねらい  2002年10月1日に関東地方を通過した台風0221の通過により、台風の危険半円内に位置した千葉県東総地方および茨城県鹿行地方では、多くの園芸施設が倒壊などの被災を生じた。園芸施設の風害対策技術を開発するためには、最新の被災データにもとづく検が有効な手段である。そこで、園芸施設構造に関する被災データの蓄積を目的として、被災施設構造に関する現地調査をもとに、被災事例毎の骨組構造解析および構造要部の強度計算を実施した。
成果の内容・特徴
  1.  鉄骨補強パイプハウス(図1)に関する骨組構造解析を行い、風速50m/s下で柱梁接合部に生じる曲げモーメントは42.8kN.cmであることを明らかにした(図2)。次に、柱梁接合部の強度計算から、この接合部の許容曲げモーメントが37kN.cmであり(図3)、風圧力によって生じた曲げモーメントを下回ることがわかった。このタイプの接合金物は、風速50m/sに対する耐風性を有しておらず、接合部補強用斜材の必要性が明らかとなった。
  2.  鉄骨補強パイプハウス(図1)に関する骨組構造解析から、風速50m/s下で基礎に作用する引き抜き力の最小値は7.7kNであることを明らかにした(図2)。次に、その柱の基礎およびさらに10cm深く埋設した基礎に関する引き抜き耐力を算出した。10cm深く埋設することで、基礎の引き抜き耐力は6.8kNから8.5kNに増加した(図4)。園芸施設基礎の施工にあたっては、適正な埋設深を予め求めておく必要性が明らかとなった。
  3.  砂質地盤上に建設された鉄骨ハウスの現場打設のコンクリート基礎およびその施工不良基礎に関する引き抜き耐力を算出した。通常状態で7.4kNの引き抜き耐力が期待できる基礎が、施工不良状態では2.0kNの耐力しかなく、70%以上も耐力が低下することが明らかとなった(図5)。施設の耐風性を高めるためには、さし筋を適切に配置して、フーチング部が立ち上がり部と一体となるようにすることが不可欠であることがわかった。

成果の活用面・留意点
 構造解析および強度計算により、強風下における園芸施設の骨組接合部および基礎に関する被災特徴を明らかにした。提案した補強技術により、均整な耐力を有する園芸施設の設計が可能になる。


図表1 227979-1.gif
図表2 227979-2.jpg
図表3 227979-3.gif
図表4 227979-4.gif
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