34.粒子法による管内付着物の生成予測シミュレーション

タイトル 34.粒子法による管内付着物の生成予測シミュレーション
研究期間 2001~2003
研究担当者 向井章恵
樽屋啓之
中 達雄
田中良和
発行年度 2003
要約  農業用パイプライン施設への付着物(炭酸カルシウムスケール)の生成と溶質の移動を粒子法による流れ解析と同時に計算するシミュレーションである。これにより、付着物の生成量と付着箇所の予測が可能である。
背景・ねらい 空間一階微分近似による数値拡散が無いという長所を水質解析に利用して、スケールの生成予測シミュレーションを行うことを目的とした。
成果の内容・特徴
  1.  スケールはカルサイトと呼ばれる結晶である(図1)。結晶は水中と施設壁面において生成する。その生成過程は、水中では不均一核生成であり、施設壁面では付着結晶成長であると仮定した。問題視されるスケールは施設壁面上で生成される結晶である。
  2.  流れの運動方程式、溶質の質量保存式およびエネルギー保存式を、粒子間相互作用式に変換して、粒子法による解析を行った(図2)。
  3.  S. H. Chanの結晶成長速度式にG. Atkinsonの指摘を考慮して、自由水面付近と水中における結晶成長速度式Rを導出した(図3)。
  4.  数値解析における圧力の振動を抑制する方法として以下の2つの対策を試行し、低減することができた(図4)。

    1)
    2) 粒子数密度を、粒子間距離が粒径の2.1倍から4倍の同心円に挟まれた領域をx軸とy軸で4分割した領域で監視し、何れかの領域が閾値以下ならば、自由水面とする。
    初期粒子配置の方法を正方格子ではなく、千鳥格子にする。
  5.  農業用パイプライン施設において唯一自由水面があり、スケールの生成が危倶されるスタンド式分水工について解析を行った。その結果、スケールの成長速度は鉛直方向分布があり、自由水面に近いほど多かったが、その大きさは微小であった。水需要による水位変化を考慮して長期間の供用後のスケールの厚さを予測したが、通水に問題ない厚さであることが明らかになった(図5)

成果の活用面・留意点
 解析例は、カルシウムイオンの濃度が高い地下ダムを取水源とする特殊な場合である。それ以外の場合においては、水質調査においてカルシウムイオン濃度が約100mg/L以上であれば、スケール生成の検討が必要となる。




図表1 227982-1.jpg
図表2 227982-2.gif
図表3 227982-3.gif
図表4 227982-4.gif
図表5 227982-5.gif
図表6 227982-6.gif
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