懸濁液の電導度測定を用いた粘土表面の荷電特性

タイトル 懸濁液の電導度測定を用いた粘土表面の荷電特性
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2002~2004
研究担当者 大井節男
発行年度 2004
要約 粘土表面の荷電量と電導度は、水素イオン吸着の効果を受け、懸濁液のpHに依存する。この特性は、沖縄赤土と火山灰粘土のイモゴライトについて、沈殿懸濁液と上澄み液の電導度を比較して表面電導度を算定する新たな方法により明らかにできる。
キーワード
粘土表面、pH、沖縄赤土、イモゴライト、表面電導度
背景・ねらい 沖縄の赤土流出に見られるような粘土流出は、粘土表面の荷電特性に左右される。すなわち、荷電量が大きいと電気的斥力により粘土は分散し流出しやすくなる。しかし、この荷電量は水素イオン吸着により変化するので、粘土の分散は懸濁液のpHにより決まる。そこで、以前開発した粘土の荷電量を懸濁液の電導度測定から導き出す方法を用いて、粘土表面の荷電量とそのpH依存性を明らかにする。特に、粘土試料として、酸性土壌の改良による赤土流出の変化を予測するために、沖縄の赤土粘土を用い、又、常に正電荷を持つために特異な吸着を示すイモゴライト(火山灰粘土)とを用いる。
成果の内容・特徴 赤土(国頭マージ)と中空糸構造のイモゴライト(図1)の荷電特性を表面電導度測定で調べた。これは、荷電表面でイオン集積により電気が流れやすくなる性質を利用する方法で、粘土を懸濁させたときの電導度増加から荷電量が算定される。さらに、その補完として沈降体積と電気泳動表面電位の測定を加えた。
  1. 表面電導度の測定(図2)は、上澄み液の電導度を一定に保ちpHを変化させて行った。24時間静置後の沈殿懸濁液の電導度を上澄み液の電導度(基準)で割り、その値を相対電導度として示す(図3)。pH増加とともに水素イオン(プロトン)脱着が進むため、イモゴライトでは正荷電量が減り表面電導度(相対電導度)が減少した。
  2. 24時間静置後の沈降体積変化(図4)は相対電導度変化と逆相関となり、pH増加による正荷電量減少が凝集力を強くし体積増加を起こすことを示した。
  3. 電気泳動測定で得られたイモゴライトの易動度(電場中での荷電粒子の動き易さ)は、全pH領域で正荷電であることとpH増加とともにプロトン脱着が生ずることとを示した。
  4. 赤土については、図6に示すように、pH6付近からアルカリ側で急激な表面荷電量(相対電導度)の増大が起こり、急激な分散が生じた。
成果の活用面・留意点 沈殿懸濁液と上澄み液の電導度を比較して表面電導度を算定する方法は、粘土に対して有効性が高い。また、沖縄赤土は中性やアルカリ性で分散流出しやすいことが初めて解った。
図表1 228008-1.jpg
図表2 228008-2.gif
図表3 228008-3.gif
図表4 228008-4.gif
図表5 228008-5.gif
図表6 228008-6.gif
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