農地におけるリル浸食の限界斜面長の予測手法

タイトル 農地におけるリル浸食の限界斜面長の予測手法
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 小川茂男
高木 東(鹿児島大)
発行年度 2005
要約 リル網が形成された農地からの土砂流出量を予測する上で重要な、リルの限界斜面長(斜面上流端からリル発生点までの距離)をGISデータが利用可能な形で予測手法を開発することにより、広域での土砂流出量予測モデルの構築が可能となる。
キーワード
土砂流出量を予測、リル、限界斜面長、予測手法
背景・ねらい 農地の土壌保全計画では、適切な農地の許容斜面長を決定することが必要となる。この許容斜面長の決定では、リル浸食の限界斜面長が非常に重要なデータとなる。また、リル網が形成された農地からの土砂流出量を予測する場合、リルの谷頭を出口とする集水域の斜面長を決定する必要があり、それには、リル浸食が発生する限界斜面長を予測すればよい。そこで、対象とする農地の土壌条件、水文条件および地形条件から、農地のリル発生に関する限界斜面長を予測する手法を開発した。
成果の内容・特徴
  1. 地表面の流出量や表土の限界摩擦速度の基礎式に、農地の土壌、水文および地形条件を加え、GISデータが利用できる形にすることを念頭に、新たにリル浸食の限界斜面長式((1)式)を導いた。
  2. 限界斜面長式((1)式)は、地表面流に関するKinematic Waveモデルと流れの剪断応力の概念を基に、理論的に導かれた式である。また、限界斜面長に関して 、 が lc の関数となっているので、限界斜面長は逐次計算により求められる。
  3. 現地圃場で観測されたリルの限界斜面長の平均値(17.6m)と分布の範囲(10.2~18.8m)に対し(表1)、必要なデータから(1)式により推定した値の幅(11~18m)はほぼ一致する。このことから、提案した推定式が妥当と判断される。
  4. 開発した予測手法により、土壌保全計画における農地の許容斜面長を決定する上で重要なデータを得られる。また、この予測手法により、リル網が形成された農地からの土砂流出量を予測する際に必要となる主要なパラメータ(リル浸食の限界斜面長)が得られる。
成果の活用面・留意点 ここで求めたリル発生の限界斜面長推定式((1)式)は空間情報である農地の斜面長を傾斜角が必要となるが、これとは別途、GISデータから簡易に計算する手法が開発されているため、連携することにより広域の推定に利用できる。
対象農地の表土のリル発生に関する限界摩擦速度は、室内水理実験で求められる。この限界摩擦速度の決定には、これまでの多くの実験的研究の成果が援用できる。
図表1 228059-1.png
図表2 228059-2.png
図表3 228059-3.gif
図表4 228059-4.gif
図表5 228059-5.gif
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