宮古島における農家レベルの環境影響算定シミュレータの開発

タイトル 宮古島における農家レベルの環境影響算定シミュレータの開発
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2004~2006
研究担当者 凌 祥之
発行年度 2005
要約 沖縄県宮古島の農家を対象に、作付面積や飼養頭数を入力することで営農による環境影響(地球温暖化、地下水への影響等)を算定することができる。バイオマス利活用の効果の算定、地域の環境保全型農業のあり方の策定、環境教育のツールとしての活用が可能である。
キーワード
沖縄県宮古島、環境影響、バイオマス利活用、環境教育
背景・ねらい 沖縄県の宮古島ではサトウキビ栽培と肉牛繁殖が盛んであり、これに関連してバイオマスの利活用と地下水保全が重要視されている。ここではバイオマス利活用の効果を算定するためのツールとして、宮古島における農家レベルの環境影響を算定するシミュレータを開発した。農業による地下水への影響もシミュレートすることができ、地域の環境保全型農業のあり方を策定する際にも活用することが可能である。
成果の内容・特徴
  1. 本シミュレータは、作付面積や飼養頭数等の基本的な営農情報を入力することで、営農による地球温暖化や地下水への影響といった環境影響を算定することができる。
  2. シミュレータはMicrosoft Excelで作成しており、基本情報の入出力、農作物生産量・資材消費量等の算出、環境負荷物質・環境影響の算出から構成される(図1)。
  3. シミュレータの算定手順は次のとおりである。
    1. 基本情報の入力画面で、作付面積や飼養頭数、堆肥施用量等の営農に関する基本的な情報(表1)を入力すると、農業機械の使用に伴う燃料消費量、化学肥料、各種農業資材の使用量や農作物の出荷量、牛ふんの発生量、廃プラ等の廃棄物発生量が算出される。
    2. 算出された消費量や発生量を基に環境負荷物質のインベントリを作成する。燃料消費や資材の生産および輸送に伴うCO2等の各種排出原単位や反すう・ふん尿処理時のCH4・N2O・NH3の発生率、作物別・肥料別の溶脱率、単位重量あたりの廃棄物処理における環境負荷等は文献値を参考にしている。
    3. 算出された環境負荷物質について地球温暖化係数等を乗じ、環境影響を算定する。社会資産等の被害影響は、日本版被害算定型影響評価手法(LIME)に準じている。 
    4. インベントリや被害係数等の結果をグラフや表として出力する。
  4. 宮古島で特徴的な経営規模(繁殖母牛12頭、サトウキビ2haの複合経営)を対象に試算を行ったところ、(1)CO2排出量では、肉用牛の濃厚飼料・化学肥料の製造による排出量が多いこと、(2)地球温暖化に関しては肉用牛の反すう由来のメタン、ふん尿由来のN2Oによる影響が大きいこと、(3)地下水への影響でも粗飼料生産における施肥由来のNが大きなウエイトを占めることなどが明らかとなった(図2)。
成果の活用面・留意点 本シミュレータは宮古島におけるさまざまな営農形態における環境影響を試算できバイオマス利活用による効果の算定も可能である。さらに、地域の環境保全型農業のあり方の策定や環境教育のツールとして活用することも期待される。ただし、N2Oの揮散等、研究領域によっては原単位の精度が不十分なものもある。研究や技術の進歩に併せて原単位の見直しや精度向上を図ることが重要である。
図表1 228064-1.gif
図表2 228064-2.gif
図表3 228064-3.gif
カテゴリ 肥料 経営管理 さとうきび 出荷調整 施肥 肉牛 繁殖性改善 輸送

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