農村の男女共同参画とポジティブアクションの評価と課題

タイトル 農村の男女共同参画とポジティブアクションの評価と課題
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2004~2005
研究担当者 藤本保恵
工藤清光
発行年度 2005
要約 農村における男女共同参画のためのポジティブアクションを評価する際、名目的数値では把握されない女性の発言力等を把握するため、推進担当者の評価を用いることが有効である。その評価に基づいて、推進方策を提案できる。
キーワード
男女共同参画、評価、名目的数値、推進担当者の評価
背景・ねらい 急速な少子高齢化の進展や女性の地位の低さを背景に、農村においても、男女共同参画の実施把握や推進方策の検討が行われている。共同参画の現状分析にはGEM指数(Gender Empowerment Measure)等が用いられるが、農村ではこうした名目的な数値では把握されない女性の発言力や参画意識の形成等を考慮する必要がある。本課題では、より効果的な男女共同参画の推進方策を探るために、これを推進する地方自治体担当者による評価を調査・分析した。
成果の内容・特徴
  1. 共同参画指標を考慮して選定した14県全市町村(982市町村)を対象に、共同参画の現状、ポジティブアクション(広く男女共同参画施策を対象、以下PA)の実施状況、推進担当者からみた共同参画の現状把握や評価(5段階評価)のアンケート調査を実施した(回収数523市町村、うち欠損値を除く357市町村(36.4%)を使用)。
  2. 推進担当者の評価を、PAの有無、PAの有無によって変化する共同参画度や地域・社会環境との関係性から明らかにした(表1)。農村女性起業数や認定農業者の女性比率は、女性の発言力や登用への意識向上の評価の高さと強く関係し(207.701、139.236、128.297、9.144)、共同参画の推進方策として、女性が起業家や農業者として地域農業・社会に関わる方向性が示唆される。また、農業就業人口の女性比率をみると、地域や地区における女性の意見反映は負の値(-4.098、-5.426)を、登用への女性の意識向上は正の値(1.704)を示している。この結果から、女性自身の意識を高めることにおいては、女性自身の意識改革にかかわるPAが重要といえるが(女性比率が高いため)、実際に女性が発言力を発揮させるためには、男性に理解されることが必要(男性比率が高いため)と推察される。
  3. 推進担当者の挙げる推進上の課題と評価の違いとの関連性を分析した(表2)。女性の発言力の形成や登用意識の向上に対する評価が低い市町村では、男女ともに共同参画の理解や意識を高めることがより重要であること、また、女性登用について男性の理解に対する評価が低い市町村では、推進体制を整えることがより重要となっており、男性に向けたPAを検討する必要性も示唆される。
成果の活用面・留意点 共同参画の現状と合わせて、推進担当者の評価から、共同参画促進の課題の把握や、実効性のある推進方策の検討に向けた活用が期待される。
図表1 228066-1.gif
図表2 228066-2.gif
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